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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 19

 義兄はこんなものしかないけど、と前置きしてフェアリーたちにドライフルーツを差し出した。


「アルマから添加物不使用のお菓子縛りされた理由が分かった気がする。まさかフェアリーへの差し入れ用のスイーツだったとは。だったらもっといいものを選んだんだが」

「大事なのはみんなのために用意してくれた、ってところなんです。どんなに高級なスイーツでも、安価なものでも構わないんです。欲を言えば、手作りが一番ですが。真心がこもってますからね」


 アルマちゃんの言葉を聞いて、ミレナさんがライブラから手作りクッキーを取り出した。


「それでわざわざ、あたしには手作り縛りだったのか。後悔させないって言った理由がわかったよ。ちょっと不格好かもしれないけど、味は保証するよ」


 差し出して、手作りと聞いたフェアリーたちは大喜び。

 バーニアがクッキーをひとつ両手で抱え、香りを楽しんで満面の笑みを見せてくれた。


「これ、全部ミレナが手作りしてくれたの? バーニアたちのために?」

「もちろんっ!」

「わぁ~っ! ありがとうっ!」


 感謝の言葉を貰ったミレナさんは心臓を打ち抜かれてのけぞった。あまりのかわいさにワンパンKOです。

 赤雷はクッキーを見て、厚いものと薄いものがあることに気付いた。


「この薄いクッキーはわたくしたちの口のサイズにぴったりです。もしかして、食べやすいように薄く作ってくれたのですか?」

「もちろんだよっ!」

「わぁ~っ! ありがとうございますっ!」


 どういたしましてとお礼を述べる横で、すかさずレーレィさんがつっこみを入れた。


「不格好なのがあるって言ってなかった?」

「言ってません。そんなことより、サンジェルマンさんたちはなにか持ってこられたんですか?」


 速攻で否定して話題を逸らした。

 サンジェルマンさんはライブラから藤籠を取り出す。


「ヘラくんから話しを聞いてね、メリアローザにはないであろう果物をシニティラーで買ってきたんだ。喜んでもらえると嬉しいな」


 さすがサンジェルマンさん。果物1個5桁からするシニティラーの高級スイーツを選んでくるとは。彼は役職が役職だし、そのくらいは当然の配慮か。

 籠の中にはフェアリーたちにとって珍しいスイーツがてんこ盛り。


 洋ナシ。バナナ。さくらんぼ。メロン。ミラベル。レーヌクロード。

 フェアリーじゃなくったって固唾を呑んでしまう。

 小さな友人たちは初めて見る果物に大興奮。抱き着いて、香りを楽しんで、ふはーっと息を吐くと同時に幸せな笑顔を見せてくれる。

 その姿を見るだけで、わたしは一生を幸せに生きられる自信が湧いてきます。


 サンジェルマンさんは彼女たちの様子を見て、満足そうに腕を組んだ。


「気に入ってもらえたみたいでなによりだ。これらの果物には種があるから、ぜひとも育ててみてほしい」

「わかった。頑張ってお世話するね! サンジェルマン、ありがとうっ!」

「「「「ありがとうございますっ!」」」」


 5人は丁寧にお辞儀して、いつか芽吹く果実を夢に想う。


「どこに植えよう。裏庭に植えるのはどうかな?」

「エルドラドの方々にも協力してもらいましょう。きっと素敵な景色になりますよ♪」

「たくさん実がついたら嬉しいです。たくさん成って、みんなにおすそわけしましょう!」

「小さくて真っ赤なりんごがたくさん食べたいです。こっちの鮮やかな緑色の果実もたくさん食べたいです♪」

「世界にはまだまだ知らない、とっても素敵な果物があるに違いない。なんてすごいんだ。まるで世界は宝箱だ♪」


 世界は宝箱!

 フェアリーは使う言葉までファンタジー♪


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