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異世界旅行2-1 秋風吹きて夢心地 6

 わたしはシェリーさんから先んじて支払いについての注意を受けた。だけど、なにも知らないであろう異世界初体験の人から当然の指摘が飛ぶ。

 手を挙げたのはラム・ラプラスさん。グリルバルを経営する彼女からお金の話しが出る。


「え、ちょっと待って。宿の手配とか街の案内をしてくれるってのは聞いたけど、暁のお金を使うっていうのはどういうこと? お金なら換金して、ここで自分のお金を使えるようにすればいいんじゃ? 後払いって後々トラブルになりそうなんだけど」


 ラムさんの頭の中では、暁さん名義のクレジットカードを使う感覚。無論、常識的な人間であれば、自分で飲み食いしたお金は自分で払う。一度、暁さんのクレジットカードを利用する手間は必要ないのではないだろうか。

 普通はそう思う。でも、ここは異世界なのだ。ラムさんはまだ知らないだろうけど。


 暁さんはラムさんの指摘に、少しだけ待って欲しいと楔を打った。


「実はみなみな様が持ちうる貨幣はメリアローザでは利用できません。なぜなら、メリアローザとベルン、グレンツェンとは異世界の関係にあるからです」


 普通に言い切った!

 前置きしたり、外堀を埋めていくとか一切無し!

 超どストレートに放り込んだ!


 ラムさんは聞き慣れない言葉を前にして思考停止。一瞬固まったのち、暁さんの言葉を反芻する。


「えっと、異世界? それ本気で言ってんの?」

「100パーセント本気です。事実がそうなので仕方ありません。まぁ焼き芋パーティーが始まったら嫌でも理解できると思いますので、まずはランチをご堪能ください」


 示し合わせたようにお昼ご飯が配られる。秋の食材を使った炊き込みご飯。サンマの塩焼き。サンマの半身と大葉を巻いたサンマ巻き。筑前煮。松茸を使った澄まし汁。

 どれも美しく、かぐわしい。炊き込みご飯の湯気に当てられただけで、どういうわけか郷愁を誘われる。ものすごく食欲をそそられる。


 まだなのか。早く食器を手に取りたい。

 うずうずするみなの前で、シェリーさんが暁さんに提案をした。


「たかピコの紹介はいいのか? 事前情報無しで彼と出会うのは、あまりにもホラーだと思うのだが。事前情報があったとしても手遅れだが」

「残念ですが、彼は交換留学生として外国にいます」

「あいつを外国に出して大丈夫なのかッ!?」

「超迷いましたけど、ウララの占いで出ちゃったんで、仕方ないですね」

「占いの結果なら仕方ないのか……?」


 言われ、シェリーさんの顔が真っ青になった。

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