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嚙み合う歯車、リズムを奏で 8

 楽しい楽しいランチの舞台はツイストファリーヌ。5人はパスタ料理専門店へと足を伸ばした。

 そう、5人である。道中、仲間が増えました。あたしこと、ミレナ・ゼイ。エリザベス、アルマにくわえて、カントリーロードで花屋をやってるシトラスさんの娘さん。ライラックとマーガレットの笑顔が並ぶ。

 母親のお使いでチャレンジャーズ・ベイに来たそうで、その帰りにちょうど偶然ばったりでくわしたのだ。

 これもなにかの縁と思って誘ってみたら即快諾。さぁさぁ賑やかランチとしゃれこみますか。


 喫緊の話題はパレスミステリーについて。アルマがエキュルイュに持って行ってしまった仕事である。

 という切り出し方をしたら、エリザベスがまたも呆れた顔をしてため息をついた。


「まだ言いますか。結局、アレの仕事はベルン支部に預けたんで、私は関与できなかったんです。クリスタルパレスの魔法を使って仕事するの、ベルン支部の建築課なんで」

「家具の製作とか任されなかったの?」

「家具が必要なアトラクションがホラーハウスしかなかったんですよ。だけど、廃棄予定の家具をリノベーションして、廃墟にある古びた家具感を出そうってことで、新品のオーダーは来ませんでした」

「まさかの古びた家具のオーダー」

「私も肩身が狭いんですよ? 仕事の相談来たのに全部、ベルン支部に持って行かれた、って」

「それはまた災難だったな」


 大人のやりとりを見て、アルマが呆然として呟いた。


「なんか、すみません……」


 いかん。気を遣わせてしまった。


「いやいや、アルマはなにも悪くないよ。それより、パレスミステリーの話しを聞かせてよ。ライラックとマーガレットも参加するの?」

「いいえ、今回はベルンで開催されるということで、私たちは不参加です。でもお菓子の家には遊びに行くつもりです」

「お菓子の家!?」


 そんな話しは聞いてない。

 愕然とするあたしをよそに、ライラックはアルマに食ってかかる。


「ところで、なんでフェアリーが出てくるアトラクションがホラーハウスなわけ? 私が参加できないじゃん!」

「フェアリーとホラーハウス!?」


 あたしの驚嘆の叫び声を尻目に、アルマはライラックの言葉を拾う。


「フェアリーとホラーハウスをくっつけたのはペーシェさんのアイデアだから。アルマは魔法を構築するのは好きだし得意だけど、物語を作るとか全くダメなのだ。というわけで、アトラクションの内容はノータッチである」

「むぅ~っ! どうせなら、お菓子の家にフェアリーを住まわせてほしかったな!」

「反論できる隙がない」


 それは確かに。フェアリーが大好きで、怖い物が嫌いなライラックみたいな子からしたら噴飯物である。

 だけど、アルマは自分が作ったパレスミステリーが自信作だから、ただでは折れない。


「大丈夫。ホラーハウスはホラー系だけど、幽霊は出ないから」

「そもそも幽霊とかいないからちょっとアルマが何言ってるのか分からない」

「まだ言うか……てか、いないって分かってるならホラーハウスのアトラクションに遊びに行ってくれていいじゃん」


 たしかにアルマの言う通り。幽霊がいないって言うなら、ホラーハウスに出向いたって問題ない。墓穴を掘ったライラックの顔が苦虫を噛み潰したようなしかめっ面になった。

 畳みかけるように、アルマがライラックの琴線に触れる言葉を耳に届ける。


「ホラーハウスをクリアした人には先着で景品を用意してるよ」

「――――景品って?」


 景品には興味あるのか。

 ホラーハウスなのに。

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