ホムパより、愛を込めて 26
感涙するすみれさんを見て思う。占い師の占い、ハズレるんじゃね?
冷静に考えると、すみれさんが悪意に近づかれる要素なんてないんですけど。
まぁでも、彼女とさらなる親交を深めるきっかけができたのでよしとしましょう。無論、ヘルプが来たら速攻でかけつけるというのは嘘ではない。
すみれさん主催のホムパにまた呼ばれたいのだ。
とりあえず、話題を盛り上げるために調子に乗ろう。
「まずは筋トレです。フィジカルを鍛えましょう。ついでに拳法も学んで身を護るだけの技術を身につけましょう。グレンツェンには護身術の講義がありますよね。それをとってみてはいかがでしょう?」
「あ、それ、受講期限が過ぎててとれなかった」
「ちなみに、すみれさんは倭国から留学ってことですが、どんな講義を中心に受講されてるんですか?」
「お料理全般を全部とってるよ。それから紅茶や飲茶のおいしい淹れ方講座とか、植物史と、地球上のキノコの役割についての講義も取ってる」
「それであんなにおいしい飲茶が淹れられるんですね。感動を通り越して羨望しました」
「「羨望!」」
エミリアとアクエリアの言葉が重なる。
「だって飲茶の文化って華国のものなのに、華国人よりおいしい飲茶が淹れられるって、マジで尊敬しますわ。兄貴もめっちゃびっくりしてたよ」
「はわわ。頑張って勉強した甲斐がありました。喜んでくださったようでなによりです」
すみれさんの笑顔がヤバい。かわいい。あたしが男だったら心臓を打ち抜かれて死んでる。
さようならを言うのがこんなに辛い日はない。また会えると分かっていても、夢のような時間を思い出して郷愁に誘われた。
ライトアップされ、幻想的で素敵なガーデンテラス。
ひとつひとつに趣向を凝らして作られた小料理の数々。
極めつけはあたしのために柔らかお肉を使った絶品カリーときたもんだ。
ダメ押しとばかりに飲茶と月餅のダブルコンボイ。ショコラとフィエリテの新作スイーツ。
今日のホムパはあたしのためにあったと言っても過言ではないのではないでしょうか?
エミリア宅へ向かう路面電車の中で謎の優越感に浸る。
すると、エミリアとアクエリアは、どんだけ自尊心強いんだってため息をついて言った。
「わからなくもないけど、そう言われるとなんかムカつく」
「すみれさんと貴女は同じアジア圏出身だからね。シンパシーが合うんでしょ。次にお呼ばれされた時は欧州寄りのラインナップにしてもらうわ」
「ふふふっ。そんなに僻んでもいいことないぞよ?」
「「はぁーーーー………………」」
ふふふ。悔しがっておるわ。あたしへの落胆と諦めのため息とも知らず、鼻を鳴らして自慢げに足を組んだ。
しかし、この時はまだ知らなかった。あたしの最後の言葉がきっかけで、すみれさんがおかしな方向へ人生の舵を切ってしまうことを…………。




