ホムパより、愛を込めて 21
そろそろ縁もたけなわと思ったら、せっかくだからと、すみれさんがあたしたち女性陣にも、好みの男性を教えてほしいと聞かれて胃が痛くなってきた。どうやら食べすぎたようだ。ここらでお暇するとしますか。
「逃がしませんよぉ~? なに一人だけ仲間外れになろうとしてるんですかぁ~?」
なんて握力だ、アクエリアめ。こいつほんとに魔術師志望なのか?
エミリアもなんて顔してやがる。クールレディが台無しだ。
「さんざん煽っておいて、ここぞとばかりに逃げるのはやめましょう。貴女の悪いところですよ?」
くっ。別に性癖暴露したところで痛くも痒くもない。でもやっぱり恥ずかしいので逃げたい。逃げたいが兄貴にも腕を掴まれて逃げられない。
無言の圧を放ってくる。諦めるしかないか。
準備が整ってしまったところで、すみれさんのご指名が入る。
「それではシェンリュさん。どんな男性がタイプですか?」
「いきなりあたし!?」
あたしと違って悪気0パーセントのすみれさんの瞳が眩しい!
ここは素直に正直に答えるとしよう。
「頼りがいのある男がいいな。軟弱なやつは嫌だ。収入は安定してて、料理を作ってくれる人。あたしはバリバリ働きたいから、基本的に家事は全部やってほしい。あ、それと、願わくばイケメンで、あたしより背は高くて、常に健康には気を遣って、無駄遣いもせず、堅実な資金運用もしてほしい。不倫は論外。子供は5人以上ほしいな。老後はグレンツェンみたいな素敵な場所でスローライフを送りたいから、語学の練習もしっかりしておいてほしい。って、みんなどうしたの?」
見渡してみると、なぜかみんなじっとりとした目であたしを見た。
なにかおかしなことを言っただろうか。嫁が旦那に求める最低ラインとして妥当なところだと思うのだが。
疑問を口にすると、アクエリアがドン引きした表情で一瞥してきた。
「いくらなんでも要求が多すぎるわ。もうちょっと容赦してあげなよ」
「え、どこを?」
聞き返すと、アクエリアは顎の裏を見せて侮蔑してきた。エミリアとアルマはあたしを肯定してくれるよね?
「アルマ的には分からんでもないところもあったけど、ちょくちょく引っかかるところがあった」
「あんたも家事やんなさいよ」
「家政婦さんを雇えばいいじゃない?」
言うと、エミリアが顎の裏を見せて侮蔑してきた。
「これだから上流階級のお嬢様はッ!」
「みなさん、僕の妹が世間知らずなことを言って申し訳ございませんッ!」
なぜか兄が土下座した。
なにがいけなかったのか?




