ホムパより、愛を込めて 19
閑話休題。すみれさんは参考になると言ってメモを取る。どこがどう参考になるのかわからんが、すみれさんが納得したならそれでよかろう。
さてさて、最後は飛び入り参加の土御門渚さん。倭国人のハンサムガイ。すみれさんと同郷の彼なら、なにかいいアイデアがでるかもしれない。
「私は、そうですね、月並みですが自分のことを精神的に支えてくれる女性がいいですね。それでいて、自分の好きなことに一直線で、努力家で、尊敬できる人。そんな人と一緒になりたいです」
「自分の好きなことに一直線! 一生懸命な人を見てると、自分も元気が出てきますよね!」
「おっしゃる通りだと思います」
これまた模範的な回答。しかしまぁ、健全な人類が伴侶に求めることなど、そう多くはないのかもしれない。
逆に多すぎると重くてしんどい。このくらいさっぱりしてるほうがいいのかも。
ちなみに、あたしはすみれさんの元気な姿を見ると元気が出ます。今もいい笑顔を見せてもらって、心がほんわかしちゃいますな。
「それにしても、イラさんはすみれさんのどこに不満があるんだろう?」
ぽつりとつぶやいて、すみれさんの顔が真っ青になった。
「私の、料理しか取り柄のないところに不満が…………!」
「そういう意味で言ったんじゃないっすーーーーっ!」
いかん。話しを逸らせ!
兄貴に向かってなんとかしろビーム発射!
「くっ! すみれちゃん自身に不満があるんじゃなくて、彼自身になにかこだわりとか、微妙にかみ合わないところとかがあったんじゃないかな。例えばトラウマがあって、女性に対して深く踏み込めない、とか?」
「女性に対して深く踏み込めない……?」
すみれさんの頭の上にはてなマークがぴょんこぴょんこ。
誰とでも仲良くなれるすみれさんからすると、社交的なイラさんの姿からは想像もできない言葉が出て来ていまいち納得いかない様子。
ここですみれさんをよく知るヤヤちゃんが助け舟を出す。
「つまり、おいしい料理になったものの、最後になにかひとつ決め手に欠ける状態かもしれないということです。塩にするか、醤油にするか、なにかが足りないような、そんな状況ということです」
例えが謎すぎる。
「なるほど! 私からもう一歩、イラさんに踏み込んでいけばいいってことだね!」
そういうことなのか!?




