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ホムパより、愛を込めて 16

 あたしのためにッ!

 あたしのためにありがとおおおおおおおうッ!

 くっ。こんなことならシュネーバルにくわえてホールケーキを買ってくるんだった。雪玉もおいしいけど、これだけではあたしの感謝を表現しきれない。表現しきれぬわっ!


「今度ぜひとも、あたしの故郷に遊びに来て下さい。めいいっぱい歓迎しますからっ!」

「ほんとですか? その時はぜひ、お願いいたします」


 あたしの勢いに兄貴が波乗り。


「その時は俺にも声をかけてくれ。プロの厨房に興味あるでしょ?」

「ありますッ!」

「語気がガチッ! ちょっと、兄貴。あたしと一緒に遊びに行くのが先だから!」

「それはそれで手配してやるよ。俺は飲食店のオーナーだから、俺の持ってる店なら紹介してあげられるよ。なんならそのまま働いてくれてもいいよ?」

「プロの厨房と技術は実際に目で見て体験してみたいですっ!」


 すみれさんは働くとは言ってくれなかった。それほどまでにグレンツェンでの生活が楽しいのだろう。

 友がいて、彼らのためにおいしい料理を用意して、楽しいホムパができるのだから移住する理由がない。

 この時、あたしたちは知らなかったのだが、すみれさんはアルバイトでありながら、なかなかの高給取りなのだ。それもそのはず。超おいしい料理が作れて、アンコウからマグロまで捌ける人間が世界中にどれだけいるだろうか。

 野菜、魚、肉、スパイス、酵母。どの扱いもプロ並み。仕事も恐ろしく早く、正確で、無駄がない。グリレやヘイターハーゼからもスカウトされてるってんだから頭が上がらない。

 なにより情熱的で楽しそうに仕事をする彼女は周囲に良い影響を与え続けてるという。

 これほどの人材はなかなかいない。もしもベルン騎士団の食堂に彼女がいたなら、毎日の勉学が楽しいものになるだろう。


 空腹だった人たちもお腹いっぱい胸いっぱいになったところで小休憩。

 飲茶を飲み、キキちゃんたち特製のまんまる月餅をぱくり。嗚呼、これを食べたらお開きか。こんなに楽しいホムパを手じまいにしなくてはならないなんて、もったいなさすぎて居候したくなる。お泊りしたくなっちゃうわー。

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