ホムパより、愛を込めて 14
事情を説明すると、ウォルフさんを含めたティレット一家はちょうどブーケット・デ・シエルのディナーが終わったということで、そのまますみれシェアハウスのホムパに飛び入り参加。
外行きの衣装なので着替えずにそのままお越しになられた。
ティレットさんはさすが貴族のご令嬢といった装い。美しく華やか。それでいて謙虚な装いは見習うところが多い。
ガレットちゃんはかわいい系。キラリと輝くネックレスとノンホールピアスは大人っぽい印象を与える。
エマさんとウォルフさんは使用人なので、主人と比べてずっと控えめ。エマさんは本人の性格を反映したような、緑系で統一されたドレスは質素でありながら、お嬢様の従者として恥ずかしくない姿。
ウォルフさんは紳士服に身を包んだ執事風。黒の礼服と白のシャツのコントラストが清潔感を与える。控えめに言って、超かっけえッ!
ウォルフさんが男性だったらひと目惚れするわ!
サマーバケーションの時から男装が似合うとは思ってたが、ここまでとは!
無駄にドキドキするわっ!
あと、背後にはティレットさんの友人が2人いる。が、それはあとで紹介してもらおう。
今はキキ火山の鎮火に努めるが先決。
「話しは電話で聞いたけど、随分とまた激おこブンブンボルケーノみたいだな……」
数分経過してもキキちゃんの怒りが収まる気配がない。
大好きな姉だからこそ、傷つくようなことを言われると深く傷つくものなのだ。
「さて、キキちゃんにアプローチしても無駄そうだな。まずはヤヤちゃんに現状の説明をしなきゃ、だな」
「すべてはウォルフさんの一言一句にかかってます。よろしくお願いしますっ!」
「責任重大……」
マジで申し訳ない。でも貴女しかいないんです。
ウォルフさんは呆然としながらも、しっかりとシュネーバルにかじりつくヤヤちゃんの隣に座って少女の顔を覗き込む。
「なぁ、ヤヤちゃん。大好きなキキちゃんがそばからいなくなるのは辛いと思う。でもな、それと同じくらい、失恋っていうのは辛いものなんだ。ヤヤちゃんはお姉さんだろ? キキちゃんの辛さを分かってあげられるよな?」
「……………………たとえば?」
「そうだな、たとえば……………………」
例え話しを要求してきた。だけど、これは進展だ。ヤヤちゃんはキキちゃんの気持ちを理解しようとしてる。数分前とは雲泥の差の反応。
さて、ウォルフさんはどんな言葉で彼女を説得するのか?
「ヤヤちゃんはチョコレートが大好きだけど、チョコレートはヤヤちゃんのことが嫌いになって、もう二度と食べて欲しくないって言われるのと同じくらい辛いことだ」
なにその例えッ!?
「ちょこれーとが……わたしをきらいに…………?」
ウォルフさんの例えを聞いた途端、顔面蒼白になったヤヤちゃんが大号泣!
まさかの超展開。効果は覿面だ!




