ホムパより、愛を込めて 7
SNS上には悲鳴とテロに対する抗議の罵声であふれかえる。
羨ましかろう。すみれさんの料理を食べたかろう。しかし残念。これはホムパを楽しむ我らにしか味わえぬのだ。どうか許してほしいっ!
ぷぷっ!
「うけるっ。やつら、すみれさんの料理が食べられないからって荒ぶってやがる」
「すみれさんの料理は絶品だからね。料理もそうだけど、ロケーション作りも完璧すぎる。最高の体験だわ」
花々に囲まれて、星空の元でおいしい料理と楽しい会話に華咲かせる。
これほど嬉しいことがあるだろうか。
はふーっ。冷たいレモン水を飲みほして、さぁさぁメイン料理といきましょう。
すみれさんが持ってきた寸胴鍋には優しい赤色をしたカリーが波打つ。
付け合わせは刻んだココナッツ、いぶりがっこ、ナン、サワークリーム、塩麴に漬けたチキンステーキなどなど。カリーと一緒に味変を楽しめる。
すみれさんは自信満々。器にたっぷりとカリーを注いで満面の笑みを浮かべた。
「今日のカリーは自信作です。トマトをベースに秋のお野菜をたっぷり使ったトマトマトンカリーですっ!」
トマトマトンカリー。響きがかわいい。
「トマトを無水調理したので、トマトの甘味と旨味がたっぷりです。各種スパイス、ナス、りんご、かぼちゃ、その他諸々のお野菜を一緒に煮込んだ秋色カリーです。アルマちゃんがワールドストリートで食べたカリーを参考に作りました。どうぞご賞味あれ♪」
すみれさん自信作のカリー。これは心して食わねばっ!
まずは付け合わせ無しでひと口。途端、夕日に沈む野菜畑が脳裏に浮かぶ。眩しく輝く太陽が、吹き抜ける風が、鼻を抜ける土の香りが、生きる喜びを讃えた。
「「「「「うっまああああーーーーーーーーッ!」」」」」
なんじゃこりゃああああああッ!?
野菜の旨味と甘みがスパイスによって引き上げられてるううううううッ!
それになんだこのお肉の柔らかさは!
マトンか?
マトンなのか?
ラムならともかく、これがマトンか!?
「柔らかいラムもいいけど、旨味の強いマトンを採用しました。野菜の力強さには濃厚なマトンの旨味が相性ばっちり。シェンリュさんが角煮好きなので、マトンをプリンのように柔らかく煮込みました♪」
「すみれさんだいしゅきいいいいいいーーーーーーーーーーーっ!」




