ホムパより、愛を込めて 3
アルマの耳元で嬉しさを隠した愚痴をこぼす。すると、アルマは眉をへの字に曲げると同時に口角を上げた。
「しょうがないじゃん。急遽の参加だったんだから」
「というと?」
「ミラベラさんはアルマが企画したお菓子の家の参加者の1人なの。で、アトラクションと併設するカフェの責任者。ショコラからもお菓子を出してもらうんだけど、それのクオリティの査定を今日やるからってことで、そのままホムパに参加しませんかって話しをシルヴァさんからもらったのだ」
「シルヴァさん、スーパーファインプレー!」
心の中と左手でガッツのポーズを構えた。
自己紹介をおえたところで、お待ちかねのディナータイム。ホムパの醍醐味は食事と会話。大きな円を囲んで向かい合う。
天蓋は満点の星空と満月。照明は足元のライトアップと、ふんわりと輝く魔力灯。テーブルにはオシャンティーなキャンドル。雰囲気抜群のホームパーティー。照明からテラスまで、一流リストランテ並み。
これはわくわくがとまりませんな。期待させてくれるじゃありませんか。
しからば、気になるところから随時つっこんでいきましょう。
「ねぇねぇ、アルマ。この魔力灯ってかなり明るいね。どういう仕組みになってんの?」
「灯り自体はライトの魔法なんだけど、光が通るガラス窓に細工がしてあるの。太陽の光って、光源から直接、直進するだけじゃないでしょ。物体を中心に回り込むように照らすからあれだけ明るく物が見える。その現象をガラス窓に付与することで、周囲が昼間のように明るくなるのだ。くわえて、ある一定の空間だけを明るくするから、満点の星空の景色も同時に楽しめる。ベレッタさんが作った魔法陣なのだっ!」
「あの人、多角的に天才だよね。自覚無いっぽいけど……」
ユノさんの助手が務まる時点でみなが理解した。ベレッタさんは要領よく、強かで、感性が柔軟で、根性がある。
最初はみんな、どうして外部の人間がユノさんの助手になったのか不思議だった。でも、それは数日の内に氷解する。あのユノさんの無垢なるイービルスマイルを跳ね除け、押しに押しまくる力強さには圧倒された。
なるほど、伊達にシェリー騎士団長が推薦したわけじゃない。身内びいきとは思ってなかった。いやほんの少し思ったところはある。
魔法適正の高さと造詣の深さ。
ユノさんの悪意のない邪悪な態度を封殺する強さ。
魂の輝きのままに、美しい魔法を生み出す心根の優しさ。
我々はすっかり彼女を認め、尊敬している。アルマが慕うのも納得である。




