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ホムパより、愛を込めて 1

【前書き】

今回はジュ・シェンリュ主観で進む物語です。

サマーバケーションの寄宿生合宿の際、すみれの料理に感動してからというもの、また食べたいと思っていた矢先、アルマ経由でホムパの招待を受けて大歓喜。

星空のナイトホームパーティーではおいしい料理においしいスイーツを堪能。

しかしキキはどこか不機嫌そう。彼女は暁に紹介された男性に恋をして、失恋してしまっていたのだ。妹が誰かのものにならなくて安心するヤヤが大暴走。キキの機嫌を損ね倒してしまいます。

さて、キキとヤヤは仲直りすることができるのでしょうか?

さらに、サマーバケーションですみれは失恋したものの、諦めたくないと大奮起。なりふり構わない彼女はホムパの参加者に男性が求める女性像を聞いて回ります。ここでシェンリュが大暴走。共に参加した兄をおちょくり倒し、アポロンを煽り、最後に決定的な余計なひと言を言い放ってしまいます。

さぁすみれの恋は無事に何事もなく成就するのでしょうか?




以下、主観【ジュ・シェンリュ】

 ベルンから出発したバスはグレンツェン東側のバス停に到着する。揺られ揺られて2時間の道のり。あっという間に過ぎ去った。

 今日の晩御飯はなんだろう。すみれさんのホームパーティーに招待されて、そればっかりが話題に上がる。


「サマーバケーションで食べさせてもらったチキンステーキと特製ソースは全部おいしかった。特に角煮は最高だったなぁ~♪ 卵炒飯も最高だったぁ~♪」


 あたしはそればっかりである。自覚するほどそればかり。あんなにうまい角煮と卵炒飯は、兄貴が経営する三ツ星料理店以来だった。

 共にホムパを楽しみにするアクエリアとエミリアも楽しい時間を思い出す。


「わたくしはランチに食べた冷や汁という料理が印象的だった。訓練をしたあとだったから汁物がよりおいしく感じるという理屈があったとはいえ、あれは本当においしかった。酸味のある香草と新鮮野菜の香りがまだ鼻に残ってるよ」


 エミリアは緑色のスープがお気に入り。

 アクエリアは料理よりもスイーツ。


「わたしはぁ~、シルヴァさんと一緒に作ったスイーツがおいしかったですぅ~。すみれさんの料理もおいしかったけどぉ~、一番思い出に残ったのはファイさんの焼いたオールシーズンシュトーレンですぅ~。一年の実りをぜーんぶ詰め込んだシュトーレンは絶品でしたぁ~♪」

「具材がごっちゃで味がめちゃくちゃかもって思ったけど、酸味と甘みのバランスがきちんととれてて驚いたよね。ヤヤちゃんなんて、あんまりおいしいから異次元書庫(ライブラ)にこっそり入れて隠し持ってたね」


 思い出しただけで微笑んでしまう。幼子の本心から出た隠し事は、時に大人が忘れた無邪気さを思い出させてくれる。あのあと、妹のキキちゃんにめっちゃ怒られたけど。


 茜空に染まる家々の間を踊り抜け、すみれさんたちのシェアハウスにたどり着いた。

 玄関の花壇にはすみれの花が植えてある。すみれさんの名前と同じ花。5月にはフラワーフェスティバルと同時に咲くのだろう。


 下を見て、上から降ってくる声を見上げた。

 楽しそうな声が聞こえる。あたしたちもその場所へ行くのだ。わくわくがとまらねぇぜっ!


 呼び鈴を鳴らすと階段を駆け降りる音が響いた。屋上庭園からアルマ降臨。


「いらっしゃあーいっ! 今日は秋口初のホムパだから祝宴風だぜっ! さぁさぁ上がって上がって。みんなもう来てるよ♪」


 アルマは相変わらずテンションが高い。先日、うっかり魔導防殻をぶっ壊したからナイーブになってると思いきや、杞憂もあくびするほどの拍子抜けっぷり。

 アルマはやっぱりこうでなくっちゃ。

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