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もんすたー・ぱぱぱぱにっく! 29

 談笑に花を咲かせると、ミラベラさんがスイーツを運んできてくださいました。

 ホテルのルームサービスで見るようなおしゃれワゴンに、パティシエたちが腕を振るった珠玉のスイーツが並ぶ。

 ひとつ、ふたつ、みっつよっつ。見たこともない素敵なスイーツに、双子は右に左に大忙し。


 ミラベラさんはわくわくしっぱなしの双子を楽しそうに眺めながら、素敵スイーツの説明をする。


「まずは【紅葉庵】より、芋餡の上にたっぷりのアーモンドとキャラメルを纏わせたキャラメル・シュトロイゼルクーヘンです」


 カチカチに固めたキャラメルで芋餡を支え、餡の上には砕いたアーモンドとパフが振りかけられたサクサクしっとりなあまあまスイーツ。店主が倭国人とだけあって、抹茶や緑茶とよく合いそうな取り合わせ。

 すみれが見たら絶対喜ぶやつ。


「続きましては【ルゥリエ】より、フルーツトマトのジュレを使ったロート・フォンダンショコラです」


 見た目はフォンダンショコラ。フォークを入れてみると、まっすぐ横に伸びた赤い層が現れた。糖度の高いフルーツトマトを使ったジュレが挟まってる。

 トマト独特の風味と心地よい酸味と甘みがチョコレートと溶け合って、スイーツの新しい世界を見せてくれた。


「みっつ目は【ベルガモット・フレイ】より、みかん果汁の生地、金柑のクリーム、はちみつ漬けのレモンを使ったタルトタタン。アーベントロート・タルトタタンです」


 さすが柑橘系の料理とスイーツを専門に扱うベルガモット・フレイ。アーベントロートの名に恥じぬ、明るい夕日を思わせる色合いは、食べた人の心を晴れやかで穏やかにしてくれること間違いなし。

 想像以上に酸味が柔らかくて癖になる。


「最後に【フィエリテ】より、カボチャを使ったクゥァービス・クヴァーク・トルテです。フレッシュチーズ(クヴァーク)はスイーツ専用に開発した当店オリジナルです」


 このスイーツの原型はいちごで作られるエアトベア・クヴァーク・トルテ。

 上部がカボチャ。次にクランチ生地。その下にたっぷりのクヴァークが重なり、最後に密度の高いパイ生地。

 カボチャの表面はバーナーで焼かれサクサク。中はしっとりのダブル食感。ザクザクのクランチ生地とまったりクリーミーでさわやかな酸味のあるクヴァーク。それらを最後に受け止める、どっしりとした安定感のあるパイ生地の重厚感がたまらんっ!


「カボチャの優しい甘さとクリーミーでさわやかな酸味のクヴァークが本当によく合ってますね。いちごのトルテより甘さ控え目で、食感もほっこりしてておいしいです」


 マジでこれうめぇ!

 手放しで褒めると、ミラベラさんは子供のような笑顔を作る。


「自分で言うのもなんなんですけど、これはかなり自信作なんです。この形になるまで沢山、試行錯誤をしたんです。4層構造なのですが、どのくらいの比重がベストなのか、悩みに悩み抜きました」

「食感も重さも全部違うものを組み合わせるのはすごく大変だって、シルヴァさんから聞きました。多すぎず少なすぎず、適切なラインを見つけるのに苦労するって。おかげで食べ過ぎちゃうって困ってました」

「そうなんですよね。スイーツ作りに試食は避けては通れないので……」


 パティシエの辛いところですな♪

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