もんすたー・ぱぱぱぱにっく! 26
以下、主観【ソフィア・クレール】
超久しぶりの姉妹団欒。四女のパティを除く全ての姉妹が卓につく。4人暮らし用の部屋に7人もいるとさすがに狭さを感じた。
料理の準備をしたのは私とフィーア。料理好きのルクスアキナはワープの魔法を連発したせいでソファーに横になって休憩中。
グリムは料理ができるくせに料理してくれない。
デーシィは料理しないからキッチンに立つことがない。
ティアに料理をさせると食材はおろか、調理器具まで破壊しかねない。
陰キャのアーディアは、目の前に家族がいるというのにネットサーフィンに夢中。
よくもここまで性格がばらばらになったもんだ。
元々は私の人格から生まれたっていうのに。
私も彼女たちのようになる未来があったのだろうか。だとしたら御免被る。
いまさら性格について文句を言っても仕方がない。せめて新鮮でトレンディな話題を振るとしよう。
「出不精のアーディアがアトラクションに参加したって言ってたけど、いったいどういう風の吹き回しなの?」
途端、アーディアは体を硬直させて黙りこくる。聞けば口を開いてくれる彼女がだんまりを決め込んだ。
人見知りなくせに誰かと居たいと願うかまってちゃん。気持ちが素直に態度に出る。
「い、いや、たまには、そういうのも、いいかなって…………」
冷や汗を流して視線を逸らす。完璧主義者のアーディアがなにかミスでもしたのか?
違和感の正体はフィーアが指摘してくれた。
「ウイルスがどうのこうのって、ペーシェが言ってたな。まさかとは思うが、作ったコンピューターウイルスを流出させたのか?」
「……………………」
なんてことしてんだコイツッ!
本当だとしたら大変だ。個人の問題で済む話しじゃない。
「アーディア、本当のことを話して。これ以上、問題が起きる前に!」
「ぐっ、ぐぬぅ……これ以上、問題が起きないようにチェックした。放出したウイルスも全て回収してチェックして抹消済み」
「なら、いいんだけど。ちなみにどういう種類のウイルスだったの?」
「取り付いたシステムを強制発動させて、全ての機能が作動し終わるまで終わらないウイルス」
「なんでそんなもの作ったの?」
「そもそもはデバッグ用のプログラムなの。人間とプログラムでソフトウェアをダブルチェックするために開発した。開発途中のプログラムをうっかり外へ流出させたのはわっちのミスだけど……」
再び視線を逸らして口ごもる。悪い態度じゃない。反省してるから、後ろめたさがあるから身を縮める。
悪用するために開発したものでないならよしとしましょう。反省してるならよしとしましょう。
「分かった。でもウイルスとか開発途中のプログラムはネットに流出しないように工夫してね」
「うん。もう対策した」
仕事が早くて助かります。
でも、人が料理してるのに手伝いもせず、ゲームばかりするのはやめてくれないかしら。なんかすごくもやっとするわ。




