もんすたー・ぱぱぱぱにっく! 17
外に出てみるとノリノリでモンスター討伐に勤しむハンターたちの姿があった。
誰もかれもオーバーアクションで光る文字を投げ、モンスターを倒し、次の獲物を探してモンスターと化す。
現実とファンタジーが融合してる。
「デザイン科だからってのもあるんでしょうけど、みなさんめちゃくちゃノリいいですね」
ペーシェさんは満足げに現実を笑い飛ばす。笑い飛ばすっていうか、笑いを飛ばしてる。
ハンターと化したモンスターたちの気持ちは分かる。異世界転移して俺TUEEEEしたい気持ちは僕にもある。
「どう考えても事故ってるんですけど、身の危険とか考えないのかな?」
「その時はその時なんじゃないですか? まぁとりあえず、この調子ならすぐに片が付きそうですね。ウイルスが原因ならあたしたちの責任じゃないですし。受けもいいみたいだからバズりますよ、これ。いや、バズらせに行きますか!」
「告知してからの、ならともかく、事故にかこつけてパパラッチするとあとで炎上しそうなのでやめときません?」
すぐ訪れるであろう未来を予言すると、彼女は身をよじって苦悶した。苦悶するほどのことでもないと思うけど。
とどめとばかりに彼女の初心を思い出させる。
「そもそもヘラクレスの塔ってクリアさせる気ないんだよね。ここでモンスターを討伐されると、出現するモンスターとそれに対応した文字の組み合わせがバレちゃうんじゃないかな?」
聞くと、ペーシェさんは目を見開いたまま感情を死滅させた。
ガチでクリアさせる気はないらしい。
無感情のまま、彼女に思いっきり肩を掴まれて走り出した。せめて手首にして痛たたたたたたたたたたたたッ!
「あたしたちでモンスターを全部ぶっ殺しますよ! 可能な限り素早く倒して文字の組み合わせの正解を世間に曝さないようにしないと!」
「えっ、僕も行くの!?」
なにこの超展開。インドアオタク男子には荷が重すぎる。
しかし内心、ペーシェさんのような美少女に肩を引かれてオラオラされるというのは悪い気分じゃない。
よし行こう!




