宝石の輝きの先に 58
楽しいそうなので王様ゲームはもっと続く。今回は赤雷が王様。王様になりたい気持ちが当たりクジを引き寄せるのか。当たりクジをフェアリーに引いて欲しい人間の欲望がそうさせるのか、このまま永遠に王様はフェアリーな気がする。
だがそれでよし!
今ならどんな願いごとも叶えてもらえる。
であれば、普段は絶対にできない願いごと。頼みたくても頼みづらくてできなかったことを叶えてもらおう。
赤雷女王陛下は暁さんを見て、くるっと回ってアルマさんをロックオン!
「アルマ様のポニーテールの上を滑ってみたいですっ!」
「ッ!?」
途端、獣を狩る狩人と化す人間たちが現れた。
立ち上がった彼女たちはアルマさんの周囲を取り囲み、満面の笑みで彼女を見下ろす。
「アルマ、王様の言うことは絶対だ。ここは観念してポニーテールになるがよい」
暁さん、めっちゃ楽しそう。
「そうだよ、アルマ。アルマはツインテール以外も絶対かわいいんだから。ポニテだけにとどまらず、アップにしたり超でかいお団子ヘアーとかにも挑戦しようよ」
おしとやかだった華恋さんが野獣と化す。
「たまにはいいじゃないか。髪型を変えてみたら気が変わるかもしれないぞ?」
シェリーさんも臨戦態勢。
「おしゃれに関しては暁さんとシェリーさんに言われたくはありません」
「「ぐっ!」」
大人2人が手痛い反撃にあう。
それでもにじりよられ、目の前には期待に満ちた眼差しを送るフェアリーがいて、逃げることも拒むこともできないアルマさんはポニテの洗礼を受けるのだった。
私はポニテ萌えというわけではない。わけではないが、恥じらいながら頬を赤らめ、身を縮ませて上目遣いをするポニテ少女のなんとかわいらしいことかっ!
なんとかわいらしいことかっ!
「なんか、無性に恥ずかしいです…………」
恥じらうアルマさんに対して、外野は黄色い声の大喝采。
「アルマかわいいよかわいいよアルマ! やっぱりポニテめっちゃ似合うじゃん! ツインテもいいけどたまにはポニテも見せてくれ!」
「かぁ~~~わいいぃ~~~っ! めっちゃかわいいちょーかわいい! シェリーさん、今度現像した写真を私にもくださいっ!」
「もちろんだっ! やっぱり似合うな。ちょっと大人っぽくなったんじゃないか? お団子もしよう。お団子!」
「ほんとに別人みたーい。ティカも髪伸ばそうかなー」
「みなさん、あまりアルマをいじめないでください。でもとっても似合ってるよ。髪型はともかく、もう少しおしゃれしてみてもいいんじゃない?」
誰がしゃべってるのかわからないくらいの大盛況。
王様のことも忘れてアルマさんがアイドルになる。




