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宝石の輝きの先に 49

「う、うぅんっ! サングリアは気品さと華やかさを兼ね備えた品種だったな。柑橘系でも少し酸味が強い気がする。レモンか、フサスグリとかかな?(暁)」

「惜しいです。もう少しにじり寄っていただきたい(赤雷)」

「はちみつ漬けにしたレモン、とか?(ラダ)」

「ちょっぴり惜しいっ!(バーニア)」

「一度ジャムにしたフサスグリ、とかかな?(ディア)」

「フサスグリじゃなくてレモンを使ったの。どんなレモンかを考えてみて(バーニア)」

「どんなレモンか…………レモンの皮から搾った果汁?(ラダ)」

「皮からも果汁は出てるけどそうじゃないのだっ!(ローズマリー)」


 単純にスイーツを楽しむエイリオス氏を除く全員が頭を悩ます。そりゃ分からないよね。完熟する前のレモン果汁を使ってるなんて。


 結果、誰もわからず降参。当ててもらいたかったフェアリーたちはちょっとがっかりな様子。


「残念。ちょっぴり難しかったかな」


 フェアリーの難しさの基準とは?


「正解は完熟する前のレモンでした。ちょっぴり渋みがあって、だけど少量だとアクセントになっておいしいの。八朔や金柑から搾った果汁もおいしかったんだけど、今回作ったサングリアのローズシロップにはレモンがいいと思って、これにしたんだ。喜んでもらえたみたいでよかった!」


 ローズマリーの笑顔が咲いた。

 ペーシェさんが楽しそうに悔しむ。


「未完熟のレモンときたか。これはさすがにわからなかったなぁ。よし。次は白いローズシロップにチャレンジさせておくれ」

「次は白沙羅のローズシロップです。なんの果物か分かるでしょうか」


 みんな一斉にぱくり。

 息を吸うごとに幸せの風が吹き抜ける。


「おいしいですわっ! バラ独特の甘さの中に百合を思わせる気品のある香りが鼻を抜けて、呼吸するたびに生きている喜びを感じさせてくれるような印象を抱きます!(フィアナ)」

「ほんとうにおいしいです。ほんのりと甘い林檎の香りがしますね(リン)」

「大正解です。優しい甘さの林檎の果汁を加えた白沙羅のシロップは、優しい気持ちにさせてくれる温かさを目指しました♪(月下)」

「優しい気持ちにさせてくれる温かさ! なんて素敵な響き!(フィアナ)」

「まったりとして、心安らぐ気持ちになるのは月下たちの心根の優しさのおかげなんだね。エルドラドの土地に植えた林檎も、そんな味になるようにしたいな(リン)」


 フィアナお嬢様はメリアローザで親友が見つかったと、先月、楽しそうに話してくださった。それが彼女、リン・ランコォン。フィアナお嬢様とシンパシーしそうな、ゆったりとした印象の少女。

 獣人特有のケモ耳に、お嬢様の宝飾処女作であるピアスがもふもふなお耳に輝いてる。

 それほどまでに彼女のことを慕ってるのか。彼女たちの微笑ましく笑い合う姿を見て嬉しくなった。

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