宝石の輝きの先に 39
「妹が、妹に親友ができて、こんな楽しそうな笑顔をおおおおぉおおぅぅうううおおおおぉぉぉうぅうううぉおおおおおおっ!」
感涙だったようだ。
人見知りの妹の成長を見て感動する兄のテンプレ。仲がいいようでなによりです。
「ちょ、にいさん! こんなところで泣かないでっ! ごめんなさい。にいさんってば、取り乱してしまって」
「構いません。よいお兄様なのですね」
「いいおにいちゃんなんだけど、ちょっと、わたしのことになるといつも、こう、情緒が……」
妹はしっかり成長なさってるようですよ。兄がもっとしっかりしないと、置いてかれますよ?
とは言わない。藪蛇感がすごいから。
でも暁さんは容赦ない。
「兄がそんなんでどうする? リンはお前に護られるだけの存在じゃないんだ。兄のお前がしっかりしないと妹に迷惑がかかるぞ。しっかりしろ!」
喝を入れられて涙を振り切り、深呼吸して話題を戻す。
「それで、今回はマジックアイテムの実証実験だっけか。しかし俺は獣人なせいか、放出系の魔法は苦手だ。正直、マジックアイテムは使い方がよう分からん」
「それはお前が勉強不足なだけだ」
暁さん、物言いが容赦ない。
ホウさんのテンションの下がりっぷりがハンパない。
「宝石魔法は石に刻まれた魔術回路に魔力を流すだけで発動する。今まで体術で倒せなかったモンスターも、もしかしたら倒せるようになるかもしれない」
「なるほど。そりゃ助かるな」
「それに、エルドラドの中で最もマジックアイテムの使い方がへたくそなホウが使いこなすことができれば、ほかのみんなも使えるようになるだろ」
「そ、そうだな…………」
暁さん、そろそろそのくらいにしといてあげませんか?
さすがに不憫です。
少し一服と、エイリオス氏とアルマが帰ってきた。ら、珍しい獣人を見てエイリオスおじいちゃんは大興奮。どんな魔法が使えるのか質問攻めにしようとする。
無論、しゃべらせると止まらないのでシェリーさんが止めに入った。
「はい、エイリオス氏は落ち着いてくださいね。アルマも、わくわくするのはあとにしてくれ。それじゃ、フィアナから説明してくれ。簡潔に、手早くな」
促されて、フィアナさんがまず知りたいことを伝える。
「まずは完成したフレイムスピアの宝石魔法の威力調査です。同じ宝石魔法でも、属性、魔力量、練度の違いによって威力に差異が出るのかどうかの確認をします。まずはシェリーさん。ストーンウォールの設置と魔力観測用の魔法陣の設置をお願いします」
「任せろ。すぐに用意する」
シェリーさんが動きだそうとした時、暁さんが提案があると手を挙げた。
「せっかくだからあたし自身で威力の確認をしてみたい。ので、同じ要領で1人2発撃ってくれ。ストーンウォールに1発、あたしに向かって1発だ」
なに言ってんだ、この人。




