宝石の輝きの先に 37
見てるだけで癒される。バーニアなんて、ティカの頭をトランポリンのようにして、ぽよーんぽよーんと飛び跳ねて遊ぶ。
頭の上にいるから見えないが、くっかわ!
月下はペーシェさんの顔の隣でホバリングエア歩行してる。まるで空中を歩いてるようだ。
くっかわ!
赤雷と白雲はノルンさんとマリアさんの肩に座ってお話し中。
くっかわ!
ローズマリーはシェリーさんの胸ポケットにむりやり入ってぬくぬくを楽しむ。
くっかわ!
フェアリーたちはこれからどこへ行くのか。どんなわくわくが待ち構えているのか。未来に輝く希望が待ち遠しいようだ。
「ところで、これからどちらに向かわれるのですか? 薔薇の塔を取り囲む庭園は早咲きの秋バラが咲いていて、とっても素敵なんです。よろしければ、庭園を散歩してティータイムにしませんか?」
白雲が素敵な提案をしてくれる。残念だけどと切り出したのはフィアナさん。
「我々はこれから宝石魔法の実験のため、ダンジョンを登る予定なのです。魔法が放てて、モンスターや障害物のない場所に行くのです」
宝石魔法のワードにローズマリーがくいついた。
「宝石魔法っていうと、きらきらの石のことだ。華恋も作ってるやつ。どんな魔法が――――――もしかして、アルマも魔法を放つの?」
思い出したかのように沈黙して、ローズマリーはアルマを見た。
「そうだよー。宝石魔法の実験のために魔法を撃って撃って撃ちまくる! まずは撃ってみて、それから情報を整理するのだ」
アルマの満面の笑みを見たフェアリーたちは思考を停止。3秒後、セチアさんの周囲に素早く集合してお別れの挨拶をする。
「そうだ。3時のティーパーティーの準備をしなきゃいけないんだった! みんな、またあとでねっ!」
明らかに様子がおかしい。さっきまではみんなと一緒に遊びに行こうって雰囲気だったのに。
「ねぇアルマ。これはどういうことなの?」
全員の視線がアルマに集まる。
「以前、ローズマリーたちがアルマの魔法を見てみたいっていうから、思いっきり魔法をぶっ放したことがあんの。で、魔法の爆風で吹っ飛んじゃって。それ以来、アルマが魔法を放つってなると、こういう反応になる」
「なんてトラウマを植え付けてくれたんだ。せっかくフェアリーたちと一緒にいられる時間ができたと思ったのに」
「だったらティカはフェアリーたちと一緒にティーパーティーの準備に行けばいいんじゃない?」
「え?」
「ん?」
言われてみれば、ティカはベルン寄宿生とはいえ、フィアナさんの研究室に在籍してるわけではない。つまり、フリーに動ける立場である。
「なるほど。よし。それじゃ、ティカはローズマリーたちと一緒にティーパーティーの準備にとりかかろうと思いますっ!」
反論はない。シェリーさんもフィアナさんも、ティカがそうしたいならそれでいいと言ってくれる。
よしっ!
続いて、フィアナさんがノルンさんとマリアさんの背中を押す。
「ノルンさんとマリアさんもローズマリーたちのお手伝いをしてあげてはいかがでしょうか。セチアさんはどう思われますか?」
「ええ、人手は多いほうが助かります。なにをするにも、大勢のほうが楽しいですから。ね、みんな?」
「手伝ってくれるの? わぁーい! やったぁー!」
喜びのあまり、セチアさんを中心にぐるぐると飛び回る。3周して、よろしくねと挨拶をした。
くっかわ!




