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宝石の輝きの先に 23

 しばらくして、長椅子に座りなおした暁さんはシェリーさんとフィアナさんから詳しい事の顛末を聞いた。白装束のままで。

 シェリーさんは解決済みを伝えたのち、暁さんにひとつの頼み事をする。


「理解してくれてありがとう。だが、その、そろそろ着替えないか? あまりに、なんというか――――――――味気ないというか」


 オブラートを5重に積み重ねて絞り出した言葉がそれだった。


「申し訳ございません。首を落とすつもりで来たので、替えの服がなくて」


 本気すぎるッ!

 これには全員絶句。後ろに控える付き人も、紅茶のおかわりを準備するメイドさんたちも固まって動けない。アルマは今にも凍死しそう。

 死を覚悟した人の覇気が、これほどまでに冷たいとは…………。


「こんなこともあろうかと、着替えをご用意しております」


 虚無の中で言葉を発したのはモノクロ少女。アルマの髪を三つ編みにした姿。髪の左右が黒と白。服もおしゃれなチェック柄のように黒と白を配した地味で派手な柄。

 アルマはピンクを基調にしたふりふりフリル。

 モノクロ少女は女の子らしさを残した執事という印象。かっこかわいい。アルマの双子の姉か妹か。アルマよりは常識人っぽい。見た目はアルマと同じく非常識だが。


 彼女に促されて着替えを済ませた赤毛のレディは、それはそれは美しいいで立ちで舞い戻った。純白のワンピース。朱色のカーディガン。生地の淵にはフリルがあしらわれ、羅刹のような女はかわいらしい女の子に大変身。


「暁様、写真を撮ってもいいですか?」


 フィアナさんが動き出した。目をらんらんと輝かせ、年の離れた妹を見るような目だ。

 幼く見えるようだが、間違いなくフィアナさんより年上だけど。


「写真? よくわからんが、フィアナにも迷惑をかけた。あたしにできることなら可能な限り叶えよう。しかし、ロリム、ほかに服はなかったのか?」


 ロリムと呼ばれたモノクロ少女はサムズアップして満面の笑み。


「暁様、よくお似合いですっ!」

「お前のほうが似合うだろうに…………」

「今回はことがことです。白装束の代わりが必要になるかもしれないと思い、白のワンピースをご用意いたしました」


 すかさずシェリーさんのつっこみが入る。


「そんな配慮しなくていいのに」


 これに対し、ロリムが余計なひと言を付け加える。


「朱色のカーディガンは血を表しています」

「……………………せめて秋コーデと言いなおしてくれ」

「了解です。ごほんっ。秋コーデとして、清涼感のある白のワンピースと、紅葉を想起させる朱色のカーディガンをご用意いたしました」


 再びのサムズアップ&どや顔。

 開き直り方が徹底してる。この子、かなりの曲者。

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