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宝石の輝きの先に 21

 アルマの言葉に天を見上げたのはシェリーさん。嫌な予感が当たったと、頭を抱えて目頭を押さえる。


「こちらとしても、どうにか暁の怒りを鎮められるように努力する。誠心誠意謝罪すれば、暁も許してくれるだろう――――赦してもらえると、祈るしかない」


 被害者側のシェリーさんが困り顔とは。サマーバケーションでもアルマの大活躍は目をみはるものがあった。

 騎士団長クラスがレナトゥスに欲しいと願う人材。アルマ・クローディアン。凄いと思う反面。少し妬ましいと思ったのは嘘ではない。

 妬ましいと炎を燃やして、アルマのような存在になれるように努力しなくちゃと、情熱の炎で嫉妬を燃やす。


 ティカだって魔法への情熱はアルマに負けてないはず。マジックアイテムの開発がしたくてベルンにまで来た。

 宝石魔法だってなんだって、いっぱい勉強して使いこなしてみせる。


 祈りを捧げる3人の想いに呼応したように、件の暁という人物が現れた。白装束で。


 ♪ ♪ ♪


 応接室に白装束の赤毛の女性が1人。彼女は客人用の長椅子の横のカーペットの上に正座してシェリーさんを見上げる。

 隣には今にも失神しそうなアルマが正座。背後にはサマーバケーションで会ったペーシェさんと、アルマそっくりのモノクロの少女が立つ。

 ティカもフィアナさんも、シェリーさんもバストさんも面食らって言葉を失う。


 この人、本気で自分の腹を斬る覚悟で来てる。

 自分にも身内にも厳し――――いや、厳しすぎるでしょ!?


 最初に動いたのは暁さん。シェリーさんに土下座を敢行。


「この度は誠に申し訳ございません。騎士団を始め、市井のみなみな様に多大なるご迷惑をかけた無礼、どうかわたくしめの首ひとつで勘弁願えないでしょうか」


 腹どころの話しじゃなかった…………。

 マジか、倭国。斬首を願い出る風習があるのか。近代化が進んで、そういうのは時代劇の中だけだと思ってた。まさかガチだったとは。


 頭痛の種が増えたシェリーさんも血の気が引く。彼女が本気だと分かってしまったからだ。


「暁の覚悟は分かった。しかし、ベルンにそういう文化はない。そもそも、暁に死なれては困る。アルマにもだ。今回は宝石魔法の研究中の事故ということで決着がついてる。レナトゥスが認可した実験なんだ。非はこちらにある。宝石魔法の攻撃力を上回る結界を用意できなかったのはレナトゥスの責任だ。暁にも、アルマにも責任はない」


 本当は、現状確認を怠って過剰な攻撃力を披露したアルマとフィアナさん、ティカにも責任はある。

 研究の責任者であるフィアナさんとアルマは処分保留ということになってることからして、責任が全くのゼロというわけではない。


 が!

 今そんなことを言おうものなら、暁さんは腹を斬りかねない!

 それは困る!

 言えるわけない、ほんとのことは!


「だから顔を上げて、椅子に座って、対等でいてほしい」


 どっちが被害者か分からなくなってきた。


「シェリー様の寛大なお心遣い、この紅暁、一生忘れませんッ!」


 顔を上げるどころか、額を地に伏しての土下座。シェリーさんは頭痛を通り越して胃まで痛くなったみたい。

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