宝石の輝きの先に 18
「今回のことが暁に知れると、留学を取りやめて強制的に帰国させるかもしれません。ここにいると毎度毎度、魔導防殻を破壊してしまうから、と」
「それは、普通の流れでは?」
後見人の責任としてそのくらいはありうる。
「しかし、それをされると異世界間交流の足掛かりを失う可能性があります。彼女は魔術関連において太いパイプ。こちらとしては失いたくない。ですが、暁の性格からして、身内に厳しいのでアルマの行動を許すはずがない。当然ではあるのですが」
「信頼できる人間なんだね。両者ともに異世界間交流をしたい。しかしアルマちゃんがうっかりをやらかす。暁という人は責任を取るだろう。その一環として、元凶のアルマちゃんを帰国させる。だけど、こちらとしてはアルマちゃんの存在はありがたい。実に絶妙なバランスだね」
サンジェルマンさんも唸る。デメリットよりメリットが勝るのだ。
シェリーちゃんの報告によると、アルマちゃんは異世界の魔術師組合や魔剣工房、魔剣持ちの冒険者にも顔が広いという。ここで彼女の存在を失うのはあまりにも痛い。
そう思うと同時に、我々は同じことを考えていた。
フェアリーとのティーパーティーというプラチナチケットを失うのは痛すぎる!
異世界間交流の断絶は夢幻の住人との邂逅の不可能を示す。
それは嫌だ。なんとしても阻止しなくてはならない。
シェリーちゃんが絞り出した苦肉の策は、どれだけ暁という人物を納得させられるか。
「来月、我々は異世界に赴き、研究した魔剣の中間報告と宝石魔法の進捗状況の報告のため、メリアローザに出向きます。その際、事の顛末を伝えてこちら側の意向を伝え、異世界間交流の継続とアルマのグレンツェン滞在を許可してもらえるよう、なんとか話しをつけるしか、ないと、思い、ます…………」
「うん。お互いに納得のいく落としどころを、提案していくしか、ないっぽいね」
シェリーちゃんの仕事が増えた。異世界間交流の担当者は彼女だ。ただでさえ多忙だというのに、シークレットな仕事にまで神経を使わされるんだから、騎士団長はたいへんです。




