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宝石の輝きの先に 11

 まずは水晶から始めますか。最も純粋で単調な構造の水晶。世界中で産出されることから、宝石魔法は基本的に水晶で実証実験されるのが世の常。

 ということで、扱いやすい水晶から試していきましょう。


 フィアナさんは左手に水晶を乗せ、包み込むように右手で蓋をする。

 手のひらの中で燐光が弾けた。ふわりと周囲の空気が温まり、彼女を中心に静かな風が吹く。手のひらの隙間から水晶をのぞくと、まばゆいばかりの光が水晶に集まり、少しずつ少しずつ小さくなって消えていく。

 一瞬にして作業が終わった。ファイヤーボールが簡単な魔法だからして、それほど時間がかかるものではない。


 だが、フィアナさんからすれば感無量の出来事。初めての宝石魔法の生成が成功した。胸の高鳴りが抑えきれない。両の手で握りこぶしを作り、満面の笑みで歓喜の雄たけびを上げた。


「やりましたわ! 初めて、初めて宝石魔法を生成できました! これもみなさまのおかげですっ!」

「あれ? 宝石魔法の研究はずっとされてきたんですよね? 今まで挑戦したことはなかったんですか?」


 カルティカに問われ、フィアナさんは苦笑い。


「何度か挑戦はしたのですが、思い切りが足りなかったのか、魔術回路を付与できずにいました。時には爆散してしまって、それでいつまでも前に進めなくて」

「爆散!?」


 不穏な空気が漂う。爆散したならば、己の身に危険が及びかねない。小さな破片が弾丸のように飛んでこようものなら、絆創膏程度の怪我で済むはずがない。


「だ、大丈夫です! 爆散と言っても、ぱちんと弾けるくらいのものですからっ!」

「とはいえ、手のひらは無事ではないのでは?」

「それは、まぁ、裂傷くらいは覚悟の上です」


 そういうことは先に言っておいていただきたい。

 リリィを召喚して、万一の時に備えさせておくものを。


 呆れた顔をするアルマを見て、フィアナさんは必至に取り繕う。


「でも、もうコツは掴みました。それに華恋さんの助言とマーリンさんの研究ノートのおかげで、正しい方法というものが見つかりましたから」

「結晶構造に沿って、滑らせるように魔術回路を刻む。ですよね」

「アルマさんのおっしゃる通りです。では、次々作っていきましょう」


 紫金石、クリア。花崗岩、クリア。ダイヤモンド、クリア。スフェーン、クリア。


「おぉ~! とりあえず、予定してたぶんは全部クリアですね」

「ですわね。でも、花崗岩だけ少し心配です。付与はできましたけど、ギリギリ壊れずに落ち着いたといった様子です。魔法を発動する際に自壊してしまいそうな印象でした」

「魔法を発動するに際して、大なり小なり熱が発生しますからね。熱の発生は振動の発生。振動に耐えられないと壊れてしまいますからね」

「それが宝石魔法のネックですね。壊れてしまうと宝石としての価値すらなくなりますから」

「ですね。暁さんには感謝してもしたりません」

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