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宝石の輝きの先に 9

「鉱石の結晶構造の中に滑らせるように魔術回路を収めるんだって。つまり、結晶構造を把握してないと魔術回路を滑り込ませることができない。しかも、鉱石によってそれぞれ微妙に構造が違うから、それに対応した魔術回路の構成にしなくてはならないのだ。ナノミクロンクラスの精密さでっ!」

「そんな小さな世界の話しなの!?」

「そんな小さな世界の話しなの。そしてアルマは鉱物の結晶構造に詳しくない」

「元も子もないじゃん」

「だってアルマは魔法以外に基本、興味ないんだもん」

「そういう問題か…………?」


 仕方ない。仕方ないがしかして、フィアナさんがいるので問題ない。

 フィアナさんが提示したのは石だけではない。詳細な結晶構造のポートフォリオも乗せられてる。

 それによると、どれも火のマナが内包されてるようだ。フィアナさんは5つの石を示してこれからすることを言葉にした。


「まずはこれらの情報をもとに、ファイヤーボールの魔法を込めていこうと思います」


 ファイヤーボール。火属性の基礎の基礎。火の魔力持ちで使えない人がいないくらい簡単な超初級魔法。

 宝石魔法という名の階段の第一歩。偉大なる最初の一歩目を、アルマは飛び越えて2段、3段飛ばしの提案をしてしまう。


「下位魔法は宝石魔法でなくてもほぼほぼの人が扱えるので、せっかくなら中級魔法からでもよいのでは?」


 フィアナさんはきょとんとして、次に困ったような表情を見せて身を縮ませた。


「ええと……お気持ちはわかりますが、ひとずつ進めて行かないと、研究にならないので」

「いやでも、中級魔法でも組成が簡単なものはありますから、下位中位にこだわらなくても大丈夫だと思います。それに石がもったいないです。いきなり上位とは言いません。中位から始めましょう。宝石魔法の付加価値を考えたら、やっぱり中位以上の魔法じゃないと意味が薄いと思います」

「それは…………」


 フィアナさんは悩む。アルマの言葉に一理あると認めてるからだ。

 アルマの中では今言ったこととは別に、アルマの貧乏性が関係している。幼少の頃、極貧生活を送っていたアルマの悪癖がひょっこりぽん。顔を出して悪さを働く。


 大は小を兼ねると詭弁を垂れて、一足飛びに空を目指す。

 毎度懲りずに鼻っ柱を叩き折られてきたと知りながら。

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