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宝石の輝きの先に 7

 宝石に関心が無ければ知らない言葉。疑問に思うのもうなずける。アルマは華恋さんから耳にタコを張り付けたいほど聞いたから知ってる。


「4Cとは、cut(カット)carat(カラット)color(カラー)clarity(クラリティ)のことですわ。基本的にダイヤモンドの希少性を評価するためのものです。今回はほかの宝石にも適応して、一律の基準として採用いたします」

「なるほど。共通する基準を設けるのは大事ですね。これがあやふやだと、比較対象が困難ですから」


 さすがカルティカ。わかってらっしゃる。


「ええ、ただし、宝石の中にはこれらの基準に当てはめることができないものもあります」

真珠(パール)とかオパールですね。カットできなかっり、透明度のないもので宝石に分類されるものがありますから」

「アルマさんのおっしゃる通りです。宝石とはあくまで人間の価値基準の中にあるもの。宝石魔法の観点から言えば、それは適切ではないかもしれません」


 カルティカは納得した様子で小さくうなずいた。と、同時に、あとひとつと言って疑問を投げる。


「振動数ってなんですか?」


 カルティカがそう言うと、フィアナさんは腕時計を外して見せてくれた。


「これはクォーツ時計と言いまして、部品に水晶を使用しております。水晶は電気を流すことで正確に振動します。ですので、時計の針が狂いにくいのです。水晶に電気を流すと、結晶が伸び縮みして正確に振動する性質を利用した時計なのです。このように、石は振動するのです。その波動が魔法の発現や威力に影響を及ぼすのか。術者との相性にも関係してくるのか。それらを突き止めようと思います。しかし、それはまた次段階になると思ってますので、今はまだ気になさらないでください」


 カルティカは自分の知らない世界をのぞいて感嘆のため息を漏らす。

 全く動いてないように見える鉱石が、実は振動してるなんて。それが人体や魔法に影響を与えるだなんて信じられない。

 ぶっちゃけ、アルマも全然ピンとこない。認識できないがゆえ、体験として理解できないからだ。


 呆然として目を丸くする2人のために、フィアナさんは最新の論文を示してくれた。

 お題目は、『宝石による人体の治療』。

 宝石で治療ッ!?


「信じられないかもしれませんが、実際に成功しているということです。まだなにがどういう理由で治療に至ったかは研究段階とのことです。しかし、これが事実であれば投薬の量を減らすことができると期待されています。さらに、古人たちが宝石に特別な意味を見出してきた理由も解き明かせるかもしれません」

「宝石で治療。それは本当にすごいことですね。投薬の量が減らせるとなれば、世界をひっくり返すことができるかもです。ぜひとも、その研究チームの方々には頑張っていただきたい」

「ええ、彼らの情熱は我々の宝石魔法の研究にも力を与えてくださるかもしれません」


 大好きな宝石で人々を笑顔にできる。そう思って、フィアナさんは嬉しそうな笑顔を咲かせた。

 フィアナさんの笑顔がもっと見たい。彼女は本当にいい笑顔をするんだ。きっと彼女の笑顔は多くの人々を巻き込んで、大輪の花を咲かせることだろう。

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