宝石の輝きの先に 4
恋愛に疎いアルマが見て、フィアナさんたちはマルコに好意を持ってると判断できる。カルティカをはじめ、寄宿生全員理解してる。
なのにマルコだけ気づかない。真正のバカなのか。気付いてないふりしてるだけなのか。他に好きな女子がいるのか。
真正のバカ→超馬鹿野郎。
気付いてないふり→サディスト。
他に好きな子がいる→奥手野郎。
どう転んでもどうしようもない。こうなれば、アルマにできる最終奥義にして禁断の術を行使するしかあるまい。
一気に決着が着く必殺のぷにっ。ボタンを12個くらい押すだけ。
「ちょっと待ってぇーーーーッ!」
携帯の画面を見たカルティカがアルマの両袖をわし掴み。しわができるから服は優しく扱っていただきたい。
「どうした、カルティカ。効率厨のアルマの合理的な思考に口をはさむというか?」
「挟むよっ! 撃鉄にトランプを挟んででも止めるよっ!? 誰に連絡しようとしてるの!?」
「マルコ」
「「「「ぶふーーーーッ!?」」」」
その場にいた人たち全員吹いた。
フィアナさん、メイドさん2人と執事さん。核爆弾よろしく、ボタンをぷにっとすれば速攻解決。これほどまでに合理的な解決方法があるだろうか?
「ないよっ! ないけど、そういう問題じゃないんだよっ!」
「いったいなにが問題だというのか。簡潔に述べよ」
「とりあえず、携帯をよこせ」
「ことわぁーーーーるっ!」
携帯を取り上げられないように結界に閉じ込める。そしてボタンをぷにっと一発押してやるのだ。
「フィアナさん!」
「ごめんなさい、アルマさん。解呪!」
「ぎゃ!」
両袖の下からフィアナさんの両腕が伸びる。レジストの魔法とともに結界はほどけ、核戦争も真っ青のエマージェンシースイッチが奪われた。
「うぐおぉぉぉっ!? 本人に聞けば一発解決なのに!」
「それは博打がすぎる! せめてフィアナさんの知らないところでマルコに聞いて、オーケーだったら伝えるとか、そういう回りくどい方法を用いていただきたい!」
カルティカもバグってきた。
「それ今やって帰ってきて何も言われなかったら実質ノーになるのでやめてくださいっ!」
言われてみれば。フィアナさんのおっしゃる通り。
「その時を覚悟してください」
アルマは構わず突っ走る。
「とにかくっ! 本人に直接聞くのは――――というか、どうしてマルコに、どうして、え、もしかして、わたくしの好きな人が」
「「マルコでしょ?」」
「ッ!?」
ここまでの流れで気づかれてないと思ってるとか、どんだけ天然なんですか。
状況把握能力が低すぎるのでは?




