恋色の波動 11
〜おまけ小話『文化を楽しむ』〜
ミレナ「アイザンロックに行ってきたアルマがなんだか楽しそうにしていて羨ましいな。向こうではどんなことをしてきたんだ?」
アルマ「アイザンロックではガラス吹きの体験をさせてもらいました。氷獄を見学して、おいしい料理もたらふく食べさせていただきました。それからこれ、ミレナさんとエリザベスさんにお土産です。アイザンロックグラスです。ミレナさんには空中散歩でお世話になりまして、本当にありがとうございました。エリザベスさんにはゆきぽんのお家を作ってもらって本当に感謝しております。今後とも、なにとぞよろしくお願いいたします」
エリザベス「本当によくできた子だ。感心するよ。しっかし、後夜祭で見た時からひと目惚れしちゃったけど、手元に来るといっそう惚れ直してしまうな。やっぱりガラスは光の当たる場所に置くに限る」
ミレナ「あぁ、本当に美しい。不純物は細かい粒子なのか。太陽光にかざすとキラキラと反射するな。実に興味深い。そういえば、エキュルイュに大きな物を運び込んでいたようだが、あれはなんだったんだ?」
エリザベス「以前、アイザンロックから来てくれた職人さんがお礼に、と作ってくれた龍涎香の彫刻です。友好の証として、一角白鯨とリスが寄り添って合唱している造形。お互いが手を取り合ってよりよい物を作っていこうという意味があるそうです。本当に素晴らしい職人ですよ。腕もピカイチ。ジジィたちには負けてられんっすわ!」
アルマ「エリザベスさんたちからのお土産もすっごく喜んでいらっしゃいましたよ。チーズとソーセージがお気に入りだそうですね」
エリザベス「なんでも、アイザンロックでは牛肉とか豚肉なんかは貴重品らしくてさ。だったら酒と肉系のツマミが楽しめるバル【炙りと燻製】を紹介したの。そしたら2日に1回は通ってた。酒もおいしいけど、随分とソーセージを気に入ったんだ。肉の腸詰なんて食べたことがない、ってさ。とにかく口に合うものがあってよかった。北国の人々の味の感覚とか分からないからちょっと不安だったんだ」
アルマ「生活環境が全然違いますからね。アイザンロックは生食もある魚文化が根付いてました。魚文化が発達してないグレンツェンでは料理に心配があったかも」
ミレナ「魚文化が未発達というが、ポワレとかムニエルとかあるけどなぁ」
アルマ「アルマから言わせれば全然ですね。やっぱり魚は新鮮なものを生ですよ生っ!」
ミレナ/エリザベス「「その感性がマジで分からんっ!」」
アルマ「そんな2人に朗報です。フュトゥール・パーリーで遂にマグロの解体ショーをするので来て下さい。その時にお刺身とかマグロの頭の試食をさせてくれるそうなので、実際に生食文化に触れて下さいっ!」
アルマが新鮮な生のマグロを食べまくり、幸せを謳歌しているなか、恋に恋するガレットが波動砲を撃ちまくりました。恋に興味のないアルマにとっては迷惑千万。ただただ撃たれるだけにあるサンドバッグでした。周囲は盛り上がっているけど、当の本人は冷めているというやつです。外は熱々。中は火が通っていなくて冷たいやつです。いざ食べてみると、うわ~……ってなるやつですね。
次回はグリレ・エ・フューマージュの店主視点で進むホームパーティーです。
お酒とお肉と妹属性が大好きな女店主。彼女の思惑とはいったい…………。




