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洋服屋さんに出会いを求めて 2

 楽しい時間も過ぎ去って、家路についた頃には手荷物も心もいっぱい笑顔満開。嬉しくて体が火照っていた。

 今日の晩ご飯はヤヤちゃんが作ってくれる。料理上手なヤヤちゃんは何を作ってくれるのかな。


 ただいまを言うと、おかえりが返ってくる。

 そんな当たり前が輝いていた。ヤヤちゃんの笑顔も輝いてる。


「おかえりなさい、すみれさん。あれ? 朝とお洋服が違いますね。購入されて、そのまま着られたのですか?」

「そうなの。ベレッタさんが選んでくれたんだ。細やかなレースに黒と白のパターンを通る赤のラインがかわいいって」

「ええ、普段と印象が全然違いますね。クールかわいい系でとってもお似合いです」

「えへへ、そうかな。ありがとう♪ 今日の晩ご飯はなぁに?」

「今日はたこぶつと卵かけご飯。それから水炊きです」


 聞きなれた単語に懐かしさと安心感を感じる。

 のだけど……食卓の上に並んだものに見覚えがない。


 たこぶつ。タコがぶつ切りになってるっていうか、足の根本からぶった切ってそのまま煮つけてる。

 柔らかくなるまで時間をかけて作たのは歯ごたえからも感じるのだけど、なんていうか、ハニートーストの時もそうだけど、ヤヤちゃんって見た目によらず超豪快。


 卵かけご飯。黄身がない。どこにいったのだろう。卵白だけを白米の中に投下して箸でぐるぐるかき混ぜるスタイル。とろとろのふわふわになったご飯の上にワサビ醤油をお好みで。

 かなり奇異なお姿をしていた。でもこれはこれでなかなか。


 そして主食の水炊き、のようなもの。鶏もも肉、水菜、白菜が、出汁の効いた卵焼きの中に閉じ込められている。出汁は水炊きの際に出たお汁。旨味がいっぱい詰まってた。


 どれもすっごくおいしい。そしてどれもこれも自分の常識の外にある。

 もしかしてこれが世界の常識?

 同じ名前だけど、見たことのない見た目。

 でもおいしいってことは、これはこれで正しいということだろう。

 ん~~……まぁいいかっ!


「ふわぁ~、おいしかった。ヤヤちゃんはとってもお料理上手だね」

「ありがとうございます。すみれさんのお料理もとてもおいしかったです。今度一緒に作りませんか?」

「いいの? それじゃあ今度、一緒にお買い物に行こう」


 ガッツのポーズで意思疎通。それを見たキキちゃんは心配そうな眼差しを送る。


「すみれお姉ちゃん…………ヤヤと厨房に入る時は気をつけてね。常識が足元から崩れていくやつだよ」

「結果的においしければ、いくらでも常識など覆してみせましょう!」


 キキちゃんの言葉に一抹の不安を覚えながらも、楽観的な私は、こんなにおいしいご飯が作れるのだから学ぶほかない。と、不安よりもむしろ楽しみが勝ってます!




~おまけ小話『大切な服』~


すみれ「ベレッタさんってお洋服はどんなの持ってらっしゃるんですか?」


ベレッタ「え、わたし? えっと、サン・セルティレア修道院は衣服を寄付してもらって、そのまま使ったり繕ったりしてる。これもその1つ。服はみんなと相談して、自分の好きなものを選ぶの」


すみれ「リデュース・リユース・リサイクルですね。素敵な考え方です」


ベレッタ「お金の問題もあるんだけどね」


ハイジ「パッチワークで世界に自分だけの洋服ですか。そういうのいいですね。こことここの部分はパッチワークみたいですけど、不思議と調和がとれてますよね。シスターの誰かが裁縫してるんですか?」


ベレッタ「いいえ。基本的にわたしを含めた子供たちが自分で裁縫してる。自分のことは自分で、が基本だから」


ペーシェ「耳が痛い」


ルーィヒ「いや、ペーシェとシェアハウスしてるけど、いうほど他人任せじゃないよね?」


ペーシェ「そりゃお互い様の精神はあるさ。そこじゃなくて、服を大事にするってところ」


ルーィヒ「言うほど無駄使いしてなくね?」


ペーシェ「心当たりはないが、気をつけていかないと」


ベレッタ「気持ちはとても大事。態度はもっと大事」


ルーィヒ「結構厳しい」


すみれ「当然ですよ。どんな経緯であれ、届いた服はかつて誰かが好んで着たもの。大切に扱ってあげるのが礼儀というものです」


ペーシェ「なんという援護射撃。あたしが着てる服も大切にしてあげなきゃね」


すみれ「私はこの服、一生大事にします。背丈が合わなくなってもパッチワークします。自分の子供に着せます。赤色要素をもっと足し合わせてかわいくしますっ!」


ベレッタ「最終的に真っ赤な服になりそう」

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