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謝蜂葬〘エルンテダンク・ビーネ・ベアディグング〙 1

今回は小鳥遊すみれ主観でお送りいたします。

エルンテダンク・ビーネ・ベアディグング。略してエルビーベア。蜂と花と生きるグレンツェンの人々の年中行事の一部をお届けします。

人生ならぬ蜂生を終えた彼らをグレンツェンの人々の手で送り出す葬送の儀式。感謝と労いを伝える日です。

そこに一人の少女が現れます。彼女はローザが手入れするローズガーデンに一目惚れ。どうしてもローズガーデンに行ってみたいとローザにお願いします。

少女の希望は叶うのでしょうか。



以下、主観【小鳥遊すみれ】

 冬が始まろうとする。

 冷たい風が吹く。

 グレンツェンに咲く花々も、どこか身を縮ませて寒さを耐えようとするように見える。

 今日は蜂さんたちに日頃の感謝を伝えるため、カントリーロードにある儀式場に向かう。

 早朝の空は快晴。純白の雲が空に浮かぶ。

 季節の移ろいを報せる風に身を委ねて心が遊ぶ。

 秋晴れの空の下、日の出とともに少しずつ温かくなる空気を喜ぶ。

 嗚呼、なんて素敵な日和だろう。めいいっぱいに深呼吸をすると、グレンツェンに咲く花々と人々の真心を感じるみたいだ。


 お出かけの準備をして踊り出そう。

 お気に入りの黒地に赤と朱色のチェックのキャスケットを被る。ヴィジットとバッスルスカート、ロングソックスを履けば、落ち着いた色合いの秋コーデのできあがり。

 無論、全て黒地に赤と朱色のチェック柄!

 片手には小さなスミレの花束を携える。


「すみれは今日も通常運転だなー」

「あっ、ウォルフさん。おはよう!」


 (エルンテダンク)(・ビーネ・)(ベアディグング)へはティレットさんたちと一緒に向かう。彼女たちもエルビーベアの参加は初めて。私たちと同じくわくわくを胸に頬が染まる。

 ウォルフさんを見つけたヤヤちゃんが彼女の前に出て挨拶をする。


「おはようございます。ウォルフさん。みなさん。今日の朝は少し寒いですね。一緒にくっついて歩きましょう♪」

「たしかに寒いな。よし、くっついて歩こう♪」


 仲良しチョコレートコンビがまふっとくっつく。ウォルフさんの隣にガレットちゃんもくっついてまふっとする。

 キキちゃんもガレットちゃんももふもふのファーコートで身を包む。とってもあったかくて気持ちよさそう。


 わふわふする3人の後ろにティレットさん、エマさん、それからローザさんが並ぶ。

 今日はグレンツェン出身のローザさんにグレンツェンの歩き方を教わるのです。


「ローザさん、今日はよろしくね」


 私に続いてキキちゃんも挨拶をする。


「ローザさん、今日はなにとぞよろしくおねがいします。グレンツェンの歩き方を教えてくださいっ!」

「グレンツェンの歩き方って、そこまでのことじゃないよ? ただ、いつもおいしいはちみつを作ってくれる蜂さんたちに日頃の感謝を伝えてほしい。それだけあれば十分だから」

「はいっ! キキも蜂さんたちが作ってくれるはちみつが大好き! だから今日はいっぱいいっぱいありがとうって言うんだ!」

「ええ、いっぱいいっぱい、ありがとうって言おうね♪」

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