133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 73
フラワーフェスティバルの後夜祭を思い出す。ユノさんがサーモンのマリネを食べた時、サーモンばっかり食べた時と同じ。残念なことに成長してない。酔ってるとはいえ、グラーヴィロヒばっかり食べないでほしい。
なぜならわたしがすごく楽しみにしてたから。
やっぱりサーモンは好きなので!
ユノさんの天然発言に火が点きそうになるわたしの気をそらそうと、シェリーさんが動画の画面を操作した。最後に見たソニックブームフェアリー。コッコちゃんに乗って極超音速に到達しようとした彼女たちを話題にする。
「フェアリーとコッコちゃんはかわいいだろ。そうだ。フラウウィードのシフォンケーキをお土産にもらってきたんだ。みんなで食べよう!」
「異世界のお菓子!」
「ところで、コッコちゃんとフェアリーはどうして極超音速で飛んで無事なんですか?」
「それなんだが、前方に防護魔法とともに風の道の魔法を使って風の通り道を作ってるらしい」
「マッハ3でぶつかる風を、防護魔法とエアラインだけで守ってるんですか? どちらも相当な練度ですね。おそらく人間では不可能。いや、フェアリーと鶏のサイズだからこそ、守る箇所を小さくできて合理的なのかも。ほかにどんな魔法が使えるんでしょうか。フェアリーは超高密度のエーテル生命体ということですが、個体それぞれに得意な魔法があるんでしょうか」
「ユノが勤勉なのは分かった。しかし、フェアリーに学術的なものを求めないでくれ。彼女たちは現実に存在するが、彼女たちには夢幻の住人でいてほしい」
「いや、でも」
「夢幻の住人でいてほしいんだ……ッ!」
「あ、はい」
シェリーさんがユノさんを圧で圧倒した。なるほど。勉強になります。
フェアリーの話題のあとは今日のティーパーティーの話題で盛り上がった。唐突に結婚を申し込むフェアリー。香り当てゲームを楽しむフェアリー。天真爛漫なフェアリー。大きな桃に瞳を輝かせるフェアリー。スイーツを食べて頬が緩むフェアリー。ハーブティーと紅茶を飲んで喜ぶフェアリー。
全てのフェアリーの一挙手一投足が愛おしい。
嗚呼、早く異世界間交流が始まらないかなー♪




