133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 58
「柿も焼き芋も、かぼちゃを練り込んだ生地も全部おいしい。これ、ユノさんたちのお土産に持って帰りたいんですけど、お土産分も作ってもらえますか?」
「もちろんです。さぁ、ニャニャちゃん、リリィちゃん、あとでワンモア修行です!」
「「イエッサー♪」」
「テイクアウトできるなら私も欲しいな。ライラさんたちに何かお土産を持って帰ってあげたい」
「ライラさんには何かないとすねちゃいそうですもんね」
「アルマ、そういうことは思っても言わないほうがいいぞ?」
「てへへー♪」
こういうのを見ると、アルマちゃんの将来が心配になります。
アルマちゃんの将来と言えば、ペーシェと一緒に作ってるパレスミステリーはどうなったんだろう。完成間近って噂だけど。
「ねぇねぇペーシェ、アルマちゃん。パレスミステリーの進捗はどう?」
聞かれ、自信満々の二人が饒舌になる。最初に名指しされたペーシェから話しを始める。
「全部順調に進んでますよ。今回は結構大がかりなプロジェクトに膨らんだおかげもあって、プロの建築家集団からデザイン系の学生まで参画することになりましたんで。なにせ出資者がセンダメッセ総合商社。アルマの話しを聞いたバイヤーが背中を押してくれることになったから。そっからいくつかの企業がスポンサーになってくれて大助かりですよ」
これを聞いたシェリーさんがペーシェに疑問符を投げかける。
「センダメッセのバイヤーと企業広報、それからベルンのオータムフェスティバルで開催するってことでレナトゥスの広報もプレゼンに参加したんだよな。レナトゥスの広報に聞いたんだが、恐ろしく完璧なプレゼンでほとんど質問の余地がなかったって聞いたぞ。プレゼンしたのはペーシェだったよな。アルマもいたらしいが」
「アルマにはペーシェさんが何を言ってるのか、99.9%くらいわかりませんでしたが」
「アルマは魔法と魔導ギミック担当だからわかんなくても大丈夫だよ。一応、発起人ってことで参加してもらわなくちゃだったけど」
ひと呼吸おいてペーシェがわたしに向き直る。
「で、ぶっちゃけ蜂謝葬が終わったあとはベルンに行って、最後の調整と確認で入りびたりですね。外部委託的な感じで丸投げ状態なんで。みなさん超やる気まんまんで突っ走ってくれてるんで、超助かります」
「エキュルイュも学生も、成功すれば実績になるもんね。特に一番期待されてるのがお菓子の家、だよね」
「パレスミステリーの呼び水として最も期待してます。お菓子とアトラクションと、映えスポットを用意してますんで来てください」
「絶対行くっ!」
「「「「「お菓子、の家?」」」」」




