133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 55
きゃいきゃいするフェアリーの隣で妄想を膨らませるわたしもきゃいきゃいしてしまう。
映像で見たアルカンレティアの眺め。昼と夜の世界。あんな景色が見られたら、空中散歩での思い出が蘇るだろう。蘇って、きっとうっとりしてしまうに違いない。ああーいいなー羨ましいなー♪
「むむっ! ベレッタちゃんから羨望の波動を感じる!」
「だからなんでわかるんですかっ!?」
「なんだ、ベレッタもアルカンレティアに乗ってパロサントの植樹を手伝ってくれるのか? 人手がいるだろうから大歓迎だ!」
「ぜひにっ!」
「お、おいおい……。ベレッタ、私たちはあくまで異世界人だぞ? そうおいそれと世界は渡れないんだ」
「うちのルクスアキナを便利に使えばいいよ。その時になったら私にも声をかけて。私もフェアリーたちと一緒に探検したい♪」
「ティアにも任せろ! 木を引っこ抜くなんて朝飯前さ♪」
「貴女は力の調整ができないと、引っこ抜く前に握り潰してしまうでしょう?」
「ぐぬぬ……。指輪に送る魔力を制御すればいいんだろ。簡単だっ! やってみせるさ!」
「ちょっとなんかあたしの名前が聞こえたんだけど、またワープの魔法を使わせようとしてない?」
「いいじゃん。減るもんじゃないでしょ?」
「魔力が減るってば……」
「「「「シフォンケーキ!」」」」
ワープが使える人は大人気。
シフォンケーキを持ってきたルクスアキナさんはフェアリーに大人気。
「3時には少し早いけど、ハーブティーだけっていうのもなんだから先に焼いてもらいました。フラウウィード特製、極上のシフォンケーキです。ソフィアたちは初めて食べるよね。フラウウィードのシフォンケーキを食べたら、ほかのシフォンケーキが食べられなくなるから心して食べてね♪」
ルクスアキナさんのウィンクを受けたフィーアさんがシフォンケーキを見てフィアナさんの言葉を思い出す。
「そういえばフィアナが言ってたな。出張先のシフォンケーキを食べてから、他のシフォンケーキが見劣りして見える、って。ここのケーキだったのか」
フィーアさんの言葉を聞いたソフィアさんのわくわくが増える。
「そんなにおいしいの? そんなにおいしいシフォンケーキの存在を黙ってたルクス、許すまじ」
「なんでこうも末妹を酷い扱いしようとするのかな? 末っ子って甘やかしてもらえるものじゃないの?」
「そういうせこい思考がダメなんですよ」
「グリムはもっとしっかりしてもいいと思う」
「私のどこがしっかりしてないって言うんですか? 一人暮らしで、自炊もして、バイトもして、自立してるじゃないですか」
「わかった。言い換えます。もっとしっかり末っ子を甘やかしていいと思う」
「ごめんなさい。ちょっとルクスと話しをしてきます」
「「「「「待ってーッ!」」」」」
なぜかいきなり姉妹喧嘩が始まりそうになったから全員で止めに入った。




