133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 52
時計の針は午後2時過ぎ。3時のティーパーティーにはまだ早い。
どうしようかということで、ダマスクローズの丘を見に行こうと提案しようとする前に、フェアリーたちがゲームをしようと躍り出た。
「よし。まだちょっと3時には早いから、みんなでゲームをしようっ!」
「ゲーム? どんなゲームをするの?」
ソフィアさんが食いついた。フェアリーが催すゲームと言えば、フィアナさんが教えてしまったという暴君ゲーム。王様になるための当たりクジの全てをフェアリーたちがかっさらい、無限にフェアリーのターンが続くというアルティメットハッピーゲーム。
フェアリーが最初に引いても最後に引いても王様クジを引き当てる。王様になってほっぺをぷにぷにしたい。一気通念の思いが当たりクジを引き寄せる。
人類に勝ち目は無いッ!
しかし、それもまたよしっ!
さぁどんなゲームだって受けてたとう。ほっぺをぷにぷにされよう!
「今日はねー、ソフィアたちがメリアローザが初めてだからねー、香り当てゲームをしようと思う!」
「「「「香り当てゲーム!」」」
初耳の遊びだ。それにしてもなんておしゃれなんだ。セチアさんのおしゃれ力を見て生活するフェアリーたちはライブラからアロマボトルを取り出した。
「ここに用意したアロマボトルの香りがなんなのかを当ててみてね♪」
「わかった! 当ててみせる!」
ソフィアさんはやる気まんまん。シャルロッテ姫様もやる気まんまん。
デーシィさん、フィーアさん、ティアさんも興味津々。ルクスアキナさんはスイーツの仕込みのために席を離れた。
スイーツ作り組みもカフェにある厨房へと赴く。わたしはフェアリーと一緒にいたいから残ることにした。
さぁ、どんな香りと出会えるのかな?
「まずはこれ。順番に一人ずつ嗅いでみてね。表の木板に正解が描いてあるから見ないようにね」
ローズマリーの忠告に気を付けながら、アロマボトルの瓶を次の人に手渡す。
コルク栓を抜いて、ソフィアさんは手で仰いで香りを楽しむ。
「甘酸っぱくて、ちょっぴり苦味を感じる香り。柑橘系かな? これ、私の好みのフレグランスだ。フィーアはどう?」
「なんか、鼻と喉の通りがすーっとよくなった気がする。爽やかで明るい気分になれるな」
「ティアもこれ好き! 甘酸っぱい感じがオレンジを連想させる」
「わたくしも好みの香りです♪ ベレッタさん、どうぞ♪」
「はい、ありがとうございます。すんすーん……。これはなんというか、ベルガモットフレイで食べたビターオレンジのホイップクリームに似てるかも。生地がふわっふわで、ホイップもふわふわでおいしかったなあ♪」
「ベレッタ大正解!」
「えっ、本当に?」
瓶を回してみると、ビターオレンジの花が描かれていた。正解だった。すごく嬉しい!
でも、うっかりとはいえクレール姉妹の見せ場を奪ってしまった。不意にソフィアさんと目が合う。彼女はわたしの心中を察して声をかけてくれた。
「すごいね、ベレッタ。どんぴしゃじゃん!」
「いえ、ええと、以前に食べたケーキがおいしくて、覚えてました」
「私もベルガモットフレイにはよく行くよ。今度一緒にお茶しよう♪」
「もちろんです!」
「わたくしも、わたくしもご一緒させてくださいっ!」
横から姫様が飛び出した。彼女もベルガモットフレイの大ファン。それにソフィアさんがティータイムをするなら、同じ時間を過ごしたいと思うのは友人として当然の心理である。
ソフィアさんはシェリーさんに目配せした。貴女は正真正銘のお姫様。凩のように出歩くわけにはいかない。
シェリー騎士団長の判断やいかに。




