133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 47
ほんわかしちゃうなあ。ほんわかした気持ちになったところでクリームパスタを堪能しよう。
フォークでパスタを持ち上げる。と、さっきと違う形のパスタが現れた。
ペーシェがパスタを指摘する。
「おかわりをもらいに行ってみたら、スパゲッティとかブカティーニとかフィットチーネとか、めっちゃたくさんの種類があったんで、とにかくいろんな種類のパスタを茹でてもらいました。ちなみに、グリムさんのはブカティーニとフィットチーネです。グリムさんはモチモチ食感のフィットチーネが大好きって言ってましたよね」
「覚えていてくださったのですか? ありがとうございます!」
「ふっふっふっ。もちろんですとも♪」
ペーシェの、グリムさんを義姉にしたいという気持ちは本物だったようだ。
「ごめんけど、ほかの人たちの好きなパスタは把握してないから、ランダムに入ってるのでご容赦を」
なるほど。なにが入ってるか分からないのか。でもこういうドキドキは大好きなのでウェルカムです。
ブカティーニだったらいいなあ。穴の開いたパスタのブカティーニは濃厚なクリームソースを空洞に含むから相性抜群。
さてさて、上段のパスタはなんだろう。
「あ、この特徴的なひらひらはラザニェッテ・リッチェだ! クリームソースとかボロネーゼによく絡むし、食感が面白いから好きなやつ」
「お、計らずもベレッタさんの好きなのを選んでしまいましたか。さすが、あたし」
さすが、ペーシェ。自尊心と自己肯定感の高さが凄い。それでいて傲慢なところがないんだからもっと凄い。
さぁさぁ次のパスタはなんだろう。掬い上げてみると、かなり太めの直径。それに表面がざらついてる気がする。食べてみると、想像以上の弾力と歯ごたえを感じた。小麦の風味が強い。表面がざらついてるからかソースの絡みが思いのほかいい。
なんて名前のパスタだろう。せっかくだからソフィアさんに話しを振ってみよう。
「なじみのないパスタだったんですけど、ソフィアさんはなんだか分かりますか?」
「これは……私も知らないパスタだ。グリムは分かる?」
「多分、ビーゴリという名前のパスタですね。強力なプレス機で絞りだすので弾力の強いパスタになると聞いたことがあります。ティアーモ国発祥だったはずですね。今回のクリームパスタはとても濃厚なので、ビーゴリの力強さと相性がよさそうです。ソフィアのパスタはどんなものでしたか?」
「私のはリングイネと……平打ちタイプの厚いパスタ」
「これはパッパルデッレですね。かなり歯ごたえのある厚い平打ちパスタです。それにしてもいろんなパスタがあるんですね。ツイストファリーヌ並みの取り揃えなのでは?」
「それなんですけど、クリームパスタを作ると決めた時にラ・ミストルティンからパスタを運んでもらったらしいですよ。すみれに頼まれて」
「「「あぁー……」」」
ペーシェの言葉に納得いきました。倭国家屋に似合わぬ西欧料理がどんどん出てきた理由が。
しかしおかげでおいしいランチバーベキューになったので文句などありません。本当にありがとうございます。




