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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 45

 そわそわしちゃうすみれの謙虚さをペーシェが打ち砕く。


「すみれなら大歓迎だよ! ソフィアさんはキキちゃんたちとも仲良さそうにしてましたし、すみれたちがいてもいいですよね?」

「もちろん! それに、フィーアが絶賛したビーフシチューが食べたい。昨日はドラゴンのシチューだったけど、普通の牛肉で作るのもあるんだよね。私も作り方を教わりたい。他の料理もいっぱい教えてほしい!」

「いいんですか!? そんなことでいいなら喜んで!」


 すみれが料理を作ってくれるホムパ、できることならわたしも参加したいっ!

 しかし招待されてないわたしが切り出すのはバツが悪い。そわそわ。


「ベレッタさんも参加してください」

「いいの!?」

「参加したいって顔に書いてありますよ?」

「嘘!?」

「本当です」


 なんてことだ。おもいっきり顔に出てたらしい。だけど、この場にいる誰も嫌な顔をせずに両手を広げてくれる。これほど嬉しいことがあるだろうか。

 その時になったら、よろしくお願いします!

 雑談の束の間、バーベキューを締めくくる最後の料理が配られる。小鉢に入ったキノコたっぷりのクリームパスタを見たわたしたちは心の中でガッツポーズをした。

 作り手のすみれが料理の解説をしてくれる。


「パスタは二層になっていて、下がヴェルミチェッリ、上がカッペリーニです。盛り付ける時に別々で置いてあるので、フォークですくうようにして食べてください」

「面白い趣向だね。それではさっそく、キノコと一緒にいただきます♪」


 薄切りにされたキノコと細いパスタのカッペリーニをフォークで貫いてお口へぱくり。

 濃厚なクリームパスタのソースと風味豊かなキノコ。小麦の香りと味をしっかりと感じるパスタが口の中で混然一体となっていく。いつまでも噛みしめて楽しみたいと思わせる。

 これはおかわりしたいやつ!


「おかわりでしたら用意がありますので、メイさんにお願いしたら二杯目をもらえるはずです。一応、メインがキノコだったのでクリームパスタとスープは小鉢で用意しました」


 おかわりが欲しいと叫んだペーシェがお腹をさすって満腹度合いを確認した。


「たしかに、キノコもソースもおいしくてめっちゃ食べてたら結構お腹いっぱいだったわ。でもキノコたっぷりのクリームパスタ……せめてあと一杯欲しい。祈はどう?」

「これすっごくおいしいです! 私もおかわりしたいです!」

「よし、一緒に貰ってこようか。みんなの分も貰ってくるけど、おかわりがいる人いる?」


 聞かれて、全員が手を挙げた。だって超おいしいんだもん。

 だよねー、とこぼしたペーシェが祈ちゃんと一緒に厨房に向かう。二人の背中を見ると本当の姉妹みたい。


「あぁ~、祈ちゃんも私の義娘にしたい! グリムもそう思うよね!」

「祈ちゃんが妹だったら毎日が楽しいでしょうね。とはいえ、軽々に養子になってくれるとは思えませんが」

「そうよねえ。太郎さんって言ったっけ。すっごく立派な人なんだって。お弟子さんがいっぱいいて、薬学とか医学にも精通して」

「らしいですね。ルクスアキナから聞きました。リアルスーパーマンだとか」


 リアルスーパーマン。暴走した祈ちゃんを止めたペーシェと太郎さんを思い出す。二人とも、どう考えても人間離れした魔力と技術だった。彼に師事してもらえれば、わたしもスーパーウーマンになれるかな。

 ユノさんという立派な師匠がいながらも、貪欲に経験を積みたいわたしはふとそんなことを考えた。

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