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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 40

「ダンスが赤雷と白雲のことを想うなら、彼女たちの心に寄り添うことが大事だと思う。つまり、ダンスも赤雷たちと同様、落ち着いた雰囲気で接すればいいと思う」

「なるほど。それは無理ですね」

「無理なの!?」

「ダンスの生い立ちがそれを許しません」

「生い立ち?」

「ダンスは数千数百年の時をたった一人でランプの中で過ごしました。孤独だった彼は今、解き放たれ、それまでの鬱憤を晴らすように騒ぎまくります。時に紳士的に、時にパリピのように」

「そ、そうなんだ……」

「でも赤雷たちには関係ないので、彼女二人は性格の不一致により辟易します」

「なんというジレンマ」

「逆に賑やかなのが大好きなローズマリーと月下、バーニアはノリノリです。あんなふうに」

「あんなふうに? お、おぉう…………」


 そこにははしゃぎまくりながら思い思いにダンスを踊る4人の姿があった。

 ダンスはキレキレのブレイクダンスを披露する。

 月下はキノコを両手で抱いて楽しそうに天に突き上げては下ろし、突き上げては下ろすを繰り返した。

 ローズマリーは体を振り回しながらボックスステップを踏む。

 バーニアはとにかく体と腕を振り回しまくった。ちなみに、彼女的にはこれでブレイクダンスをしてるつもりらしい。かわいいっ!

 背景ではリィリィちゃんがヒューマンビートボックスでリズムを刻む。凄っ!


 対して赤雷と白雲は、騒ぎまくる4人と一線も二線も引いてシェリーさんたちと一緒にキノコを食べる。ダンスのいるほうへは見向きもしない。

 これ、過去になにかあったやーつなのでは……。


 愛する二人の気を引けなかったダンスは、ダンスパーティーを飛びぬけて赤雷と白雲のところへまっすぐ向かう。きっと爆死するだろうことが分かっていても、彼は愛の衝動を抑えることができない。


「アーニサ! 僕ちゃんたちと一緒に踊ろう!」

「「お断りします。食事中ですので」」


 ど正論の槍がダンスの心臓をひと突きにした。

 これは反論できない。でもダンスは諦めない。


「そ、そうだね。それじゃあ昼食(ガダー)のあとで共に愛を語ろう♪」

「「お断りします」」


 二本目の槍が飛んできた。

 でもこれは仕方ない。距離の詰め方がキツすぎる。まるで音に聞く、サンジェルマンさんがベルンの女性をナンパした時のやりとりみたい。


「これが、恋…………っ!」


 インヴィディアさんが真剣にダンスを見る。違いますよ。これは恋でも失恋です。


「この辺から恋色の波動が……」


 なぜかサンジェルマンさんが現れた!

 この場で最も口を開いてはいけない人!

 失恋の波動を感じたサンジェルマンさんがフリーズして取り残されたダンスを見て優しく語りかける。


「どうしたんだい? もう諦めるのか」


 なぜか全てお見通しのサンジェルマンさん。ほんとになんで?

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