133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 39
「みんなーっ! 差し入れのブルーベリーを持ってきたよーっ♪ いっぱい食べてね!」
「わぁ~い! ダンス、ありがとう! みんなで食べよう。でもこのあとにティーパーティーがあるから、一個ずつにしておこう。うふふ♪」
「なんてつやつやでぷっくりと膨れておいしそうなブルーベリーなんだ。いただきます♪」
「ダンス、いつもみんなのためにありがとうございます♪」
「いやー、それほどでもないよ。あっはっはっ!」
ダンスはランプの魔神。フェアリーと同じサイズの男の子。アラビアンな衣装を身にまとい、元気で爽やかな笑顔がトレードマーク。
彼はサプライズに持ってきたブルーベリーを両手に持って跪き、赤雷と白雲に差し出して愛を囁く。
「嗚呼、我が愛しの太陽と月よ! どうぞ、おいしいブルーベリーを摘んで参りました♪」
「「……………………」」
愛を差し出す彼の前に立つ赤雷と白雲は彼とは対照的に冷めた目でダンスを見る。
ブルーベリーを差し出した彼の手がぷるぷる震えてきた。赤雷と白雲が受け取らないからだ。
しばらくして動き出した彼女たちは彼を避けて他のブルーベリーを二人で分け合って食べた。
それを見たダンスは溜息をひとつついてブルーベリーをほおばる。
「ふっ! シャイなお嬢さん方だ……」
これは、どういう状況なんだ……ッ!?
「説明しましょう!」
「わっ! びっくりした! アクアはなにか知ってるの?」
暁さんの鞄持ちをしながらメリアローザに交換留学をしているアクアはフェアリーのことが大好き。暁さんの荷物持ち以外の時間はほとんどフェアリーたちと一緒に過ごしてるらしい。
彼女がわたしの隣に座って事情を説明してくれる。
「ダンスは赤雷と白雲のことが大好きです。でもダンスは騒がしいので、赤雷と白雲は彼のことをよく思っていません。二人は静寂と落ち着いた雰囲気が大好きなんです。残念ですが、今のままではダンスと赤雷と白雲は結ばれません。どうすればいいでしょうか!?」
「どうすればいいでしょうか!?」
超特大のキラーパスが飛んできた!
どうすればいいでしょうって聞かれても、どうすればいいかわたしにも分からないよ。
なんて返事をすればいいんだ。生まれてこのかた恋色話しなんてしたことがない。
そうだ。ここはシスターの気持ちになって考えてみよう。彼女たちはいろんな人たちの悩みを解決してきた。彼女たちの思考をトレースするのだっ!




