133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 38
それにしても、【恋】ですか。わたしもいつかできるかな。強いて言えばアルマちゃんと同じできらきらな魔法に恋してる。この気持ちをずっと大事にしていきたいな。
クラリスさんの幸せそうな表情をおかずにキノコをほおばる。と、スカサハさんを連れた桜がインヴィディアさんの答えに否をつきつけた。
「インヴィディアさん、ふわふわできゃわわな気持ちも恋かもしれませんが、抱く気持ちは人それぞれですよっ!」
「と、言うと?」
明らかに酔ってる桜が啖呵を切る。
嫌な予感を察したスカサハさんが彼女の耳元で待ったをかけるも止まらない。
「好きな人を見ると悶々して下腹部とかその下とかいろいろムズムズして、いてもたってもいられなくなるものなんですよッ!」
「ちょっと、桜? 落ちついて!」
「わたくしもおいしそうなイチゴを見るとわくわくしてしまいます♪」
「えっ、白雲!?」
「好きな人を想像しただけで心がぽかぽかして、考えただけでもうそれしか考えられなくなります!」
「それは分かる気がするけど、桜が何を考えてるかも分かるから落ち着いて!」
「わたくしも分かります! つやつやでぴかぴかであまあまなイチゴのことを考えると、ぽわぽわして心がふわふわしちゃいます♪」
「白雲の気持ちは分かるけど、もうこれ以上桜の相手はしないでっ!」
「ようやくスカサハさんと結婚を前提にお付き合いができるようになったんだからもうなにも我慢なんかしなくていいd
「すまんな、スカサハ。あと、桜に酒を飲ませちゃダメだ」
「あ、はい。申し訳ございません」
背後から現れた暁さんが桜の後頭部にデコピンをぶちかました。桜は物理法則に従って顔面から地面にめり込む。
この光景、前にも見たことがあるなあ。
「すまんな、ベレッタ。また桜が暴走した。とはいえ今回限りは許してやってくれ。やっとスカサハと結ばれたんだ。桜ものぼせ上っちゃったんだろう」
「スカサハさんと結ばれた!?」
「えっと、まぁ、そういうことなので……」
クール&ビューティーのスカサハさんが恋色乙女の顔してる!
めっちゃかわいい!
じゃなくて、ここは二人の幸せを祝福するところ!
「スカサハさん、おめでとうございます。桜も……あぁ、えっと…………」
「ごめんね、ベレッタ。桜には今後一切、絶対にお酒は飲ませないようにするか。本当にごめん」
「い、いいえ、恋が成就したら羽目を外しちゃうもの、なんだと、思い、ます」
「これはハメじゃなくてタガが外れただけだ」
「ハm
「すまん、桜。今は寝ててくれ」
寝るっていうか、力技で気絶させたって言ったほうが正しいのでは……。二度目のデコピンが桜の額に打ち付けられた。
はっ! 白雲の前でこんなことしてたらマズイ。どうマズイかは分からないがこういう会話をフェアリーに聞かれたくない。
振り向くと、果物を用意したインヴィディアさんがフェアリーを集めて食後のスイーツタイムに入って気をそらしていた。
ナイス、インヴィディアさん!
でもなんだか、フェアリーたちの様子が、なんかちょっとおかしいような……?




