133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 27
「シモフリシメジ。クギタケ。アイタケ。ホンシメジ。ハタケシメジ。タモギタケ。いろんな種類の樹木があるので、いろんなキノコが生えてますね。素晴らしいですねッ!」
すみれさんのキラキラ光線がすごい!
楽しくて楽しくて仕方ないという様子だ。
見てるだけでいいと思ったけど、せっかくなのですみれさんに教えてもらってキノコを採取させてもらおう。
「樹木やキノコのことは詳しくありませんが、私も採取してみたいので、採取するキノコを教えてもらっていいですか?」
「もちろんです。これからデーシィさん用のキノコを採取するつもりなので、別の籠にまとめて入れようと思います」
「まぁ! 私の姉妹のために? ありがとうございます♪」
デーシィは砂漠で生活する。シャハルサハではキノコはあっても食用のものはほとんどないらしい。香りが強く味のいいものとなると皆無らしい。だからシャハルサハでキノコは外国からしか手に入らない超貴重な輸出品。
貴族や豪族でしか手に入らない高嶺の花。特にシャハルサハで有力な豪族が外国に出向いたおり、たいへんに喜んだということでキノコ料理が人気になったという。
きっとデーシィも喜んでくれるだろう。レーレィさんのキノコのマリネを食べてほしい。きっとおいしいと言ってくれるに違いない。
すみれさんに指定されたキノコを竹を折り曲げた専用の掴み棒で採取する。素手ではないのか。すみれさんはさっきまで素手で採取してたのに。
私の心の中の疑問をもみじさんが晴らしてくれる。
「ちょっ! すみれ、それ、全部毒キノコじゃん!」
「「「毒キノコ!?」」」
どういうわけか、私は姉妹のために毒キノコを集めていたらしい。
本当になんで?
この疑問はすみれさんが教えてくれた。
「デーシィさんのキノコを食べてみたい気持ちは分かりました。しかし、どんなキノコだって食べられるわけではない。僭越ながら、自然界には毒キノコもあるということを知っていただきたく」
「わざわざ現物を持ち出さなくても……」
「現物を見て、触れ――――ることは今回はありませんが、体験として知見をえることはたいへんに貴重なことだと思います。ヘラさんもそう言ってました!」
「あ、はい。そうですね」
グレンツェンの座学式の講義でも、プロジェクターだけでなく現物を持ち込んで実物をじかに見て触れさせて学ばせるスタイルが一般的。彼女は先人たちの知恵を、自分が体験してよかったと思ったことを『まねび』して実戦しようとしてるのだ。
ごめん、デーシィ。私はすみれさんの姿勢を否定できません。
この後の展開は、数時間後のお楽しみとしておきましょう。




