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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 25

 感動に打ちひしがれるティアさんを後ろに、アルマちゃんは目の前の魔晶石を大きな袖で包んで吟味する。


「すごい。ほとんど真円に近い。これほどまで完璧な魔晶石は見たことがありません!」

「そうなの?」

「そうですとも! ゴーレムの核はゴーレムが活動するための動力源なわけですが、ゴーレムに衝撃を与えると魔力が逆流して核を歪な形にしてしまうんです。歪な形の核でもエーテル体結晶と同じように溜めた魔力を放出できますが、出力をゼロにできないのでいつか自然消滅してしまいます。魔晶石の自然に漏洩する魔力の消費を抑える魔晶箱はあるんですが、それでも完全に抑えることができません。アルマはこれほどまでに完璧に近い真円の魔晶石を見たことがないので分かりませんが、もしかすると夢にまで見た自然魔力消費ゼロの魔晶石になるかもしれません。こちらは暁さんよりもゴーレムの開発に情熱と心血と人生を注ぐ岩戸さんに渡すと喜んでもらえますよ。それにしてもどうやってこんなに素敵な魔晶石が採取できたんですか? 魔法ですか? 魔法ですか? それとも魔法ですか? どうやって魔晶石を採取したんですか? これほど大きな魔晶石となるとゴーレムも相当な大きさだったと思うんですけど、どのくらいの大きさでしたか? それほど大きな魔晶石だと、持ってるだけで小型のゴーレムが群がってくると思うんですけど、それらの魔晶石は採取できましたか?」


 魔法に関する情熱と質問の荒波に埋もれそうになるソフィアさんは後ずさりして、踏みとどまって前へ出る。


「ともかくメリアローザに有益になりそうでよかった。査定してもらえる場所か人を紹介してもらえるかな?」


 逸らした。うまいこと逸らした!

 さすがシャルロッテ姫様の元侍女。こういう類の人のあしらい方を心得てらっしゃる。きっとあそこから魔法に関する質問をすると、アルマちゃんの終わらない魔法談義が始まるに違いない。わたしはいくらでもウェルカムだけど!

 話しを逸らされたことなどお構いなく、ソフィアさんのお願いにアルマちゃんは的確に答える。


「それでしたらダンジョンの受付に持って行くといいですよ。それか岩戸さんのところに直接持って行くといいです。きっと高値で買い取ってくれると思います。というか、魔晶石の引き取り先は岩戸さんの研究室しかないので、直で持って行くといいですよ。きっと魔晶石のことを事細かく話してくれると思います。どうやって採取されたかも聞かれると思います」

「教えてくれてありがとう。岩戸さん、っていう人と会えるかどうか分からないから受付に持って行くね」


 ここもかわした。きっと岩戸さんという人もアルマちゃんと同類。好きな話しを始めたら気絶するまで終わらないやつ。

 ソフィアさんが受付に持って行くと言って、ロリムが話しに割って入る。


「受付でよいなら私が持って行きます。ソフィアさんたちは昼食を楽しんでください」


 むむっ。このままではロリムが離席してしまう。アルマちゃんとは違うけど、アルマちゃんによく似たロリムともう少しお話しがしてみたい。

 というわけで引き留めよう。


「ソフィアさん、それってすぐに換金しないといけないものですか?」

「ううん。別にすぐに必要ってわけじゃないよ。暁さんにお金を渡せればそれでいいから、昼食のあとでも全然構わない。私もロリムのこと、もっと知りたいから一緒にランチにしよう」

「そう言っていただけると嬉しいです。私ももっと人間のことが知りたいです。では、とりあえず私のライブラで保管しておきますね」

「うん。ありがとう」


 よし。ひとまずは押しとどめた。

 ついついガッツのポーズを作ってしまう。

 ロリムとアルマちゃんを両脇に据えて昼食だっ!

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