133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 18
まずは、と切り出したアルマちゃんが一枚の厚紙を取り出した。
「まずは指輪に刻印するための魔法陣を構成します。インヴィディアさん、こちらに弱体化の魔法を使って転写してください」
「分かったわ。任せて♪」
インヴィディアさんは厚紙の上に片手を置いて筋力を弱体化させる魔法を唱える。
厚紙の上に魔法陣が転写された。これが弱体化の魔法。ここから指輪に刻印するための魔法陣を再構築する。
魔法陣の再構築。基礎は知ってる。ユノさんの元で助手をして、マジックアイテムの研究を手伝った時に簡単なインスタントマジックを作ったことがある。
それにしても、なんていうか、インヴィディアさんの弱体化の魔法は、見たこともない形で、どこから手を入れればいいか分からない。
人体に悪影響を与える魔法は闇属性の魔法に分類される。闇属性の魔術回路を見たのはこれが初めて。闇属性の魔法というのは、これほどまでに奇々怪々な姿をしてるものなのだろうか。疑問が心の中で堂々巡りする。
真剣に魔術回路を解読しようとするわたしの隣で、アルマちゃんは呆然とした表情をしてインヴィディアさんに呟いた。
「インヴィディアさんの魔術回路――――――雑っ!」
「ぐぅっ!」
心当たりがあったらしい。闇属性の魔法だから難解なんじゃなくて、ただたんに魔術回路が雑なだけみたい。
アルマちゃんはさらに畳みかける。
「よくこれできちんと魔法が発動するなあ……」
「はぅぁっ!」
「アルマちゃん! そのくらいにしないとインヴィディアさんの心がもたないから!」
「あ、すみません。それではさっそく……その前に魔術回路を解きほぐして整理しましょう」
アルマちゃんは魔術回路に向き合い、インヴィディアさんは目をそらした。




