133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 17
以下、主観【ベレッタ・シルヴィア】
とっても素敵な朝食のあと、わたしはアルマちゃんに連れられてメリアローザのマジックアイテムの研究機関に赴いた。
早朝のためか連絡を入れた陽介さん以外の研究員はいない。研究室には研究員のためのデスク。理路整然と並ぶ資料の机があれば、机の上どころか足元までめちゃくちゃに物が散らかる場所もある。
壁際にはこれまでに研究開発されたマジックアイテムとその資料が並んだ。わたしからすると宝部屋。一から百まで調べたい。
高まる知的好奇心を抑えながら、ここに来た目的を果たそう。
目的はそう、握力が常人の数百倍のティアさんのために、筋力低下の魔法を付与したマジックアイテムを作ること。
そのために、メリアローザ魔術師組合マジックアイテム開発局局長の七尾陽介さんと、状態異常の闇魔法が使えるインヴィディアさん。提案者のアルマちゃん。魔法に精通したクレール姉妹のデーシィさん。彫金技師のディザさん。そしてわたくしこと、ベレッタ・シルヴィアが研究室の椅子に腰を据える。
まずは提案者のアルマちゃんが立ち上がり、両袖をぱたぱたとなびかせた。
「早朝よりお集まりいただきありがとうございます。今回はティアさんの握力をマジックアイテムで低下させて、普通の生活が送れるようになんとかしようの会です!」
「わたくしの妹のために、わざわざありがとうございます♪」
デーシィさんは頬を染めてアルマちゃんの優しい心根に微笑む。
さて、と切り出したアルマちゃんは続きを話す。
「まずは暁さんから許可を得て手に入れた錬成された金とプラチナを持ってきました。これに弱体化の魔法陣を刻んでティアさんの筋力の弱体化を計ります。ちなみに、華恋さんとティアさんはエルドラドの鉱床に行ってミミックの養殖場の視察に行ってます。オシャンティーな指輪にしようと思うのでディザさんをお呼びしました」
「あら? 指輪を作るなら華恋ちゃんもいたほうがいいんじゃない?」
インヴィディアさんの最もな言葉にアルマちゃんが否を突きつけた。
「申し訳ないですが、華恋さんがいると話しが進まないと思うので、鬼の居ぬ間に仕事を終えてしまおうと思います」
「なるほど」
インヴィディアさんが速攻で納得する。細部にまでこだわる気質の華恋がいると、きっと話しが進まない。それどころか、ディティールにこだわるがあまり無茶振りをするに違いない。インヴィディアさんに続いてその場の全員が納得する。




