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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 14

 驀進すること3分。全員が無事にゲートを通過して薔薇の塔のエントランスに戻る。不思議と息切れはない。呼吸のあった6人のコンビネーションが体力の消耗を最小限にしてくれた。

 なにより心強かったのは殿のサンジェルマンさん。進行方向に向かって進む際、やっぱり怖いのは背後からの追撃。しかも相手は思考がなくただひたすらに突進してくるゴーレム。人間や動物なら特性を活かしていなすこともできよう。だけどゴーレム相手に人間の常識は通じない。ひたすらに襲い来る。腐ってないゾンビに見えた。

 追撃を完璧に退けて円陣を崩さず、歩調を乱さず、パーティーに安心を与える。これができる人間が世界にいくらいるだろう。

 改めてバティックの英雄の力強さを思い知った。


 ひと呼吸置いたところでロリムが魔晶石を持ってバラ園へ繰り出す。彼女の後ろを追って私たちも続く。

 秋のバラ園。大振りのバラの花がぽつぽつと咲く。緑とカラフルなバラの花のコントラストが美しい。しばらくメリアローザで生活したい。

 さて、と腰を落ち着かせてシェリーさんの疑問の続きをロリムが説明してくれる。


「まず、魔晶石はインヴィディアさんが供給してくださるエーテル体結晶に似ています。ゴーレムが活動するための魔力の塊で、ゴーレムパラダイスで自然発生します。他の階層でも自然発生を試みたそうですが、17層でしか発生しなかったそうです」


 ロリムの言葉に少しがっかりしたのはシェリー騎士団長。ベルンでも魔晶石を生成できれば異世界に依存しない魔力源の確保に繋がると期待した。


「そうか。17層でしか作られないか。魔鉱石も魔晶石も、エーテル体結晶も異世界頼みだなあ」

「魔鉱石に関しては暁さんが人工魔鉱石の精練方法を伝授するということですよね?」

「それは相当な時間がかかるだろう。足がかりが得られた幸運には感謝してる。だが、マジックアイテムの素材関連のいくつかは自前で調達したいところだ。経費とか、技術力とか、いろいろ現実的なあれこれの制約とか」

「まぁまぁ、そこは頼って下さって構わないと思います。ところで、魔晶石がメリアローザでどのように使われてるか、でしたね。メリアローザでは基本的に、ゴーレムの動力源として利用されます。魔晶石は魔力を利用する道具やマジックアイテムの動力源となります。ですが、全ての魔晶石の魔力の属性は【土】です。土属性の魔力しか持ち合わせません。魔力の脱色化を行い、別属性の魔力の色を付与しようと試みたことがあったそうですが、脱色化とともに魔力が流出してしまって魔晶石が消滅してしまったそうです」

「土属性のみ、か。制限はあるがしかし、動力源としての魔晶石は極めて高い価値がある。これの在庫はいくつかあるのだろうか。あったとして、誰に聞けば教えてもらえるか知ってるか?」

「ゴーレムを研究してる岩戸(いわと)(ざん)さんに聞けば分かると思います。ですが、トライ&エラーを忌避しない方だそうで、魔晶石はいつも枯渇してるそうです」

「枯渇してるのか……」


 さらにがっくりと肩を落とした。そりゃこれだけ便利なマジックアイテムで、魔法文明の盛んな世界なのだ。枯渇してても無理はない。自分で取りに行くしかない。

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