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133.異世界旅行2-7 思い出に、『また明日』を 12

 フィーアは社交的で謙虚。柔和な笑顔と姉後肌が好印象。そんな評価を持つシェリーさんとサンジェルマンさんが、無感情無表情で彼女の暴れっぷりを眺める。

 殴る。殴る。蹴る。殴る。ぶん殴る。

 感情のまま暴れまわり、思いっきり憂さを晴らした彼女は、ゴーレムだったらしきものの残骸を踏みつけて戻ってきた。清々しいまでの笑顔で。


「いやぁ~♪ ここまで思いっきり暴れたら気持ちがスカッとしますね~♪」

「「「それはよかった」」」


 私とシェリーさん、サンジェルマンさんの言葉が重なった。

 しかしここまでやられると、私の分のゴーレムがいないなあ。これはもう撤収でいいんじゃないだろうかなあ。

 そう呟くと、私の言葉を聞いたロリムが悪気なく海岸沿いを指さした。


「まだあっちに巨大な橋梁型ゴーレムがいますよ」

「あれ、超巨大じゃない?」

「とても大きなゴーレムです。頑張ってくださいっ!」

「そんな期待の眼差しを向けられても困るんだけど」


 なぜなら私の戦闘スタイルは超対人特化型。ゴーレムを想定などしてないのだ。

 ともあれ、見た感じではどうにかなると思う。多分。


 巨大なせいか、フィーアの激情に遅れて登場。もっと早く現れてくれればフィーアがぶん殴ってくれたのに。

 溜息をひとつついてライブラから自慢のレイピアを掴む。ロボットアニメに出てくる巨大ロボのように、しかし恐ろしく雑に変形して歩く巨大ゴーレムに立ち向かおう。

 ゴーレムは魔力で動く。魔力の発生源の魔晶石()がある。核を破壊するか、魔力の流れを絶てば行動不能にできる。


 魔力の流れ。核の位置。それらを正確に見極めることができれば、ゴーレムを分解することは容易い。

 ゆきぽんが私の肩から飛び立つとともに歩きながら近づき、急所になりそうな箇所とその傾向を観察する。

 核は全体の中心部分。外装が硬そうだし深い部分にあるから直接破壊するのは合理的ではない。であれば関節部分。関節に流れる魔力の流れの中に、部品と部品が離れ離れにならないように太く流れる魔力の流れの芯がある。

 これを破壊すればゴーレムを行動不能にできるはず。さっさと終わらせてキキちゃんたちのキノコ狩りに参加したい。


「さっさと終わらせよう」


 ひとつ呟いて仕事モードに入る。

 レイピアを振り下ろし、魔力の斬撃を飛ばして関節の魔力芯を切断する。切れると同時に接合していた部分は本体と切り離され、大地に落下して沈黙した。

 ひとつ。ふたつ。みっつ。よっつ。橋梁型巨大ゴーレムを丁寧に、上品に、ステーキをひと口サイズに切り分けるように作業をこなしていく。

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