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今日から学校と仕事、始まります。②莞

男子トイレに掃除の姉ちゃん

作者: 孤独

「ふーむ……」


主婦を続けていくのに抵抗はない。

しかしながら、子供も少しは意識を持ったというか。目を離しても大丈夫そうなお年頃。お菓子やプラスチックのおもちゃ程度で喜ぶことに飽きてきて、もうちょっと違う遊びを学びたいものか。

もうちっとで小学生だし……。お金がある事に困らないか。


「手短に小遣い稼ぎができる仕事がないかしら」


旦那の稼ぎは悪くはないが、自分のガメル分が最近増えていかない。

むしろ、お前も働けばと、嫌な返しもしてくる。共働きは、子供ができてから辞めたんだけどね。

1日3時間、4時間。お昼に限ると飲食関係かしら?賄いがつくのなら良いかな。

でも、できれば。もう少し子供が大きくなることを考えれば、良い仕事を見つけるための短期な仕事で。週3くらいでって条件ないかしら。


「……あら?」


『学校の清掃員を募集。4:00~9:00』



◇        ◇



どこにもいることを気に留めないが。誰かがきっとやってくれる仕事がある。

一つ例えると、清掃員。

普段は高齢者向けの仕事であるのだが、


「なんか最近、綺麗な姉ちゃんが清掃員やってんだってよ」

「マジ?いつも、ババアだったじゃん」

「婆さん持病の悪化で数週間前に辞めたんだよ」


高齢者らしいお体のトラブル。こればかりは読み切れないだろう。

いなくても良いかもしれないがいた方が良い。施設の清掃員。メインのところは生徒なり先生が掃除をしても、廊下や階段、普段使われてない場所。施設周囲のゴミ拾い。誰かがやってくれる事で、有り難いことで。それが当たり前だって、事。



「坂倉。ちょっと見に行かね?」

「なんでだよ」

「噂じゃ、30代前半の大人の姉ちゃんらしいぞ」

「30って年頃は姉ちゃんか?」



高校生だとしたら、誰しも思うとこ。

年齢は大事かもしれないが、中身と外見が大事なんだよ!大事だ!

失礼過ぎるぞ。



ガサゴソ


「ふーっ……」


思ってたよりは大変ね。学校ってやっぱり広いわ。

でも、若い子がいるとこで仕事したいと思って選んでみたら、思いのほか合っていた。


「元気一杯ねー」


花壇の整備もガーデニング感覚でやっていけば、楽しいものかと思えば大変さばかり。外は寒かったり、暑かったりと。若い人達は外でよく運動ができると思う。


「……………」


旦那も運動選手だったけど、今じゃただの会社員。そーなる事は当たり前だって、思ってはいたけど。

甘えてくれない感じ。子供がそうさせている感じ。

ここにきて、若いエネルギー感じて、ちょっと嫉妬。



キュキュッ


「ご苦労様でーす」

「あ、どーも」


男子高校生のお礼。こーいうもの。何気ない事が当たり前って、旦那は思っている。そして、それに不満を持っている自分がいる。


「なっ?ちょっと綺麗なお姉さんだろ」


”ちょっと”ってなんだ。”ちょっと”って。お化粧して来てんぞ。


「ああ。でも、タイプじゃないな」

「大人の姉さんってのは、知的さあるよな。清掃員じゃなく、できる主婦そのものみたいな安心感が」

「随分と肩を持つな。まぁ、あーいう奥さんがいたら将来良いだろうな」


褒めてくれること。影でもいいから、思って欲しいもの。

家族となってはあんまり、その有難みが分からないの。家族のちょっと残念な暗さ。夫も子供も、妻が炊事をやってくれると思っている。そりゃ、家にいるばかりですけれど……。

とはいえ、


「男子って良いなー」


ぼやくくらい、初々しくて若くてエネルギッシュの年頃。

もう大分前のこと。



よこしまに、食べちゃいたい。食べられたい。不倫でもなく、浮気でもなく。近くにあるお花を摘む程度に、ここにいる子達で自分の事を良くして欲しい。



キュッキュッ



期待のドキドキで、男子トイレの掃除をする。本来なら学校内部は学生の始業時間前までに終わらせるよう、指示を出されているが。清掃中の看板を立てずに、コッソリとやっている。

こんな緊張感、シチュエーション。家族を持って、抑えてつけた安全装置が僅かな間、音を外して、鼓動を高鳴らせる。どーなってしまうだろうって、感じだ。

男子高生が羨ましいが、なよっちい奴。気持ち悪い奴。確かにいるので、そいつ等にこの安全装置は外せない。あいつ等も自分の安全装置を守りやがる。やはり、やはり。カッコいい子が来た時の胸の高鳴り。



「ふーっ……!」



先ほど、男子の中で目を付けていた好青年が入って来た。高身長なのもポイントがある。

気にならない程度の素振りを見せて掃除を続けるが、坂倉は極々普通の対応。


「あ。掃除中だったか」



バタンッ



「えっ!?他行っちゃうの!?」



なによ。そんなのってないじゃない!男子は気にするの!?

こー大事じゃん!キレイにしている男子トイレ。その個室でギリギリのプレイとか。

よしっ!先回り!!


ガチャッ


「はー、まったく……!」

「あ、ごめんなさい」

「…………」


おいおい、どーいう事だ?上のトイレに来たというのに、先ほどいた清掃員がいるんだけど。掃除中なら看板置けよ。

っていうか、早いな、おい!!


「別のとこ行くか」


単純な対処をとる坂倉であるが、お姉さんもまた単純に対応する。

こー負けてられないって感じ。先読み、先回り。といっても、ここから近そうなトイレに坂倉よりも入るだけであるが。


ガチャッ


「…………」

「…………」


ガチャッ


「…………」

「…………」



なんなんだ。これは!?どうして、男子トイレに先回りされてるんだ、おい!!理由はなんだ!?すげぇ怖いんだけど。もういい。我慢する!




◇       ◇



スーッ……スーッ……



子供が寝静まった時間帯。今はちょっと苦手な時間だった。

最近は夫婦仲が悪かったけれど、昔のようにこちらから誘ってみた。


「あなた」

「んー……?」

「今日は隣で寝ない?」

「なんだ?どーいうことだ?いつもなら川の字なのに」

「いや、ありがちな展開にちょっとね。ドキドキするって感じを思い出してさ」

「ふーん。ま、いっか。働いているお前にご褒美になりゃあ」



若いって、なかなか短いものだからね。

まだそう思えたのならって


ホントは個室に坂倉と一緒に入る話を書こうと思ったんですが。

話がやばそうになるので、予定を変えました。坂倉が逃げるルートを選びました。


誰かがいる近くで、ドキドキのプレイってのに最近、興味を持てたので。

書きたい衝動にかられて。いやぁ、すんません。



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