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第15話 王国の宝(3)
「お母さま、どうぞ~! わらわと勇者さまのために、その身を捧げ、韓黄へと猪突猛進……。命賭けの突撃をおこなってくださいませ……。さぁ、さぁ……」と。
麗蘭が妖艶に薄気味悪、冷たく笑いながら、実の母の楼蘭へと急かすように告げる。
それも実の母の背を押して、
『さぁ~、あの韓黄の巨大化した化け物へと体当たりを決行して自爆をしなさいませ、お母さま~。ほっ、ほほほ』
と言っているように見え、聞こえるなと思い。
「あっ、はははははは」と乾いた笑みを浮かべると。
「……な、何を言っているのですか、麗蘭~? 体当たりをするなら、あなたがしなさい……。ち、朕は、あんな化け物に体当たりをして死ぬ気は一切ございませんから……。そんなに死に急ぎたいのならば、あなた~! ああなた~、麗蘭が自分の身体とお腹の子を糧に体当たりをすればいいでしょうに~?」と。
自分の実の娘に強引に背を押され、押し引きされている楼蘭は真っ青な顔……。