プロローグ
私は、起きた。
気分がすこぶる悪い。頭痛がする。
胸のあたりがじんじんする。肺が潰れているような感じだ。呼吸がしにくい。
とりあえず私は周りの状況確認をしようと体を起こそうと、体に力を入れると、体に激痛が走った。
「ぁうっ! おぅ。 がはぁ。」
自分の口から血が出た。大量の血だ。
コップ1杯分くらいの量がある。
そしてその血は行きよいよく上に飛び、身動きの取れない大の字に仰向けに寝そべった自分に降り注いだ。
肋骨が折れている。そのせいで呼吸がしにくい。
手も足も動かない。骨が折れているのが見なくてもわかる。動かそうとするたびにズキズキといたんでくる。
なんでこんな状況になったのだろうか。
ズキズキする頭をフル回転させて考える。
なぜ全身こんな状況になっているのか。
なんで...なんで...
思い出せない。
意識が混濁する中そんなことを考えていたら
意識が闇に放り出された。
何日だっただろうか。
そして、また起きた。
前のような激しい痛みはないがまだからだの節々がいたい。今度こそ上体を起こす。
「なんでこんなことになってるんだ...
胸やても痛い。これは一体...」
そして体を起こすとそこは洞穴のような場所だった。さして大きくもない横穴。5メートルくらいだろうか。そして出口を除くと、そこは森だった。
名称。デグド樹林。
木が生えてる間隔は5メートルくらい。枝をあまりつけておらず、高さは20メートルほどでとても高い木。そして、森とは似つかわしくなく、とても起伏が激しい。起伏が激しいところでは、地面が突き出したように、3.4メートルくらい起伏が連なっているところもある。
そして発生する魔物はとても多く。地形に適用する形で、身体能力が高い魔物が多い。
そして森の広さは端から端まで歩くと、300時間といったところか。
「森か。なぜ俺はこんな所へとばされてしまったんだ。くそ。何も思い出せない。記憶喪失ってやつか。」
男は嘆いた。記憶も行き場所もない自分の心もとなさや、不甲斐なさに。
ここで主人公となる彼の説明をしよう。
彼の名はワルキューレ。魔物である。そして彼は人間と悪魔のハーフ。そして彼は事情があり苗字を捨てた。そして、人間と魔物の戦火に巻き込まれ深い傷を負った。そして今に至る。ざっくりと説明すると。だ。
そして彼の体はというと、
黒い体。鱗のようなそれであって薄い外皮。そして筋肉質な腕。浮き出んばかりの図太い赤黒い血管が、足の先から尻尾の先までびっしりと。
頭の先には鬼のように生えた20センチはあろうかという湾曲した角、白目と黒目が逆転し、白目が横並びになっている目。鋭い牙。鱗が目立つ腕のように太くそれであって柔軟性が高い屈強な尻尾。そして何より目立つのが、蝙蝠の羽を厚く先は凶器のようにとがった大きな羽だった。
彼の説明はこれくらいにしておこうか。
そして彼は考えた。
なぜ自分が存在しているかを。分かるはずもない自分の家もどこにあるか考えた。母や父のことも考えた。母はどこなのか。父はどこなのか。自分を置いてどこへ行ってしまったのか。込み上げる寂寥感に苛まれた。
そして彼は探すのであった。自分という存在を。
そして長い長い旅が始まるのであった。