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宿屋『猫のまんぷく亭』

「おい! そこの、カレンくん! ちょっと待ってくれ!」


 そう言われ、振り向くとそこには、歴戦の戦士風なおっさんが近づいてきた。


「なんでしょうか? こっちは今すぐに宿で休みたいんですけど」

「実はな、コネさんにあの魔物の量と質を見せられてな、そんな奴が冒険者登録をしたと、言われて見にきたんだ」


 さっきの、解体のおじさんはコネと言うらしい。めっちゃかわいいな。


「はぁ、そうですか。てか、貴方誰ですか?」

「おっと、すまんな、まだ名乗ってなかったか。俺はここのギルマスをやっている、クルーズ・シャークだ。お前を呼び止めた理由だが、あれだけの魔物を倒せる奴が、まだ最低ランクのGに居るのが他のGランクのやつがかわいそうだからAまであげようと思ってな、本当は、Sランク以上まであげたいんだが、俺の権限じゃここまでが限界なんだよ」


 なんと! Aまでランクを上げてくれるのはありがたいな!


「じゃあ、お言葉に甘えます」

「よかったぁ、これで断られたらどうしようかと思ったよ。あと、こちらでオススメの宿屋を紹介させてもらおうかな」


 そこまでしてくれるとは、このおっさん、やりおるな!


「それで、オススメの宿とは?」

「俺がオススメするのは……」

「ちょっと! ギルマス!」


 そこで話に割って入ってきたのは、さっきの受付嬢だ。


「なんだ!?」

「貴方みたいなおっさんが通う宿屋なんて、どうせ「お酒目当てでいいところを見つけたから、それを紹介しよう」って、かんがえてましたよね!」

「な、そ、そ、そんなとこは〜、ないぞ〜」

「そんな反応したら、図星だとすぐにわかりますよ! 私が、紹介します! ギルマスは、もう戻って仕事しててください!」


 おうおう、怒ってるねぇ、この受付嬢。


 「えーと、お見苦しいところをお見せしました。私は、シャルと言います。これからよろしくお願いしますね」


 この受付嬢は、シャルと言うらしい。名前負けしない美人さんやぁ。羨ましい!


「お願いしますね。それで、宿を紹介してくれるんですか?」

「はい! 私が紹介する宿は『猫のまんぷく亭』です。ここの宿屋はとても清潔的で、ご飯も美味しく、安いんですよね」

「ほんとですか! あの、そこの宿屋にお風呂ってありますか?」


 これは、元日本人としては、外せん!


「えぇ、確か、銅貨1枚で入れましたよ」

「ほんとですか!? それじゃあ、その宿屋にします。教えてかくださりありがとうごさいます!」

「敬語はよして下さい」

「そうですか? じゃあ、ありがとう! シャル!」

「はい!」


 そして、教えられた道を辿っていくと、おっ、あった! やっと休める。


「いらっしゃいませ!」


 元気に挨拶をしてきたのは、まだ幼い少女だった。


「今日はご飯ですか? それとも、お泊まりですか?」

「まずは、7日間泊まらせてくれないかな?」

「7日間ですか? わかりました。え〜と、え〜と、あっ、銅貨21枚です!」


 まだ、算数ができてなくて、唸ってるこの子、めっちゃかわいい! 愛でたい。


「分かったよ。はい」

「ちょうどですね! ご飯はどうしますか? 1日、銅貨1枚で朝と夜つけられますが?」

「じゃあ、お願いしようかな? はい、ちょうどかな?」

「ありがとうこざいます! これ、お部屋の鍵です。階段を上がった1番奥の部屋です」

「わかった、ありがとう。そういえば、お風呂あるって聞いてきたんだけど?」


 やはり、これは聞いておかないと。


「ありますよ。でも、お湯張りは自分でやって下さいね。そこの裏にありますから。あ、あと、わたし、ネールと、言います。よろしくおねがいします」


 お湯張りが自分でだから、お風呂が無料なのか。


「ありがとうね。私は、カレンだよ」


 そうして、部屋にたどり着き、結構歩いて疲れてたのか今日はぐっすりと寝て、起きたのは、太陽が1番上に来る少し前だった。


「あ、おはようございます! カレンさん」

「おはよう。ネール。今日の朝ごはんってあるかな?」

「すみません。今は、もうないの」


 今喋ったのは、女将さんなのかな?


「え〜と、」

「あ、自己紹介がまだだったね。私はこの宿の女将で、この子の母親のキャシィよ。よろしくね」

「カレンです。よろしくお願いします、キャシィさん」

「おう、なんだ、俺だけ除け者にするな」


 この男前の声の人は、


「俺は、キャシィの夫で、この宿の料理人をやっていて、ネールの父親のカリブだ。よろしくな」

「よろしくお願いします。あの、ご飯ってもうないですか?」

「余り物はあるが、それでいいなら出すぞ」


 これは、天の恵みか!


「それで大丈夫です!」

「ちょっと待ってけ、今、温めるから」


 それから、ネールちゃんと、女将さんと色々話してたら、料理が運ばれきた。これは、パンとオニオンスープと、サラダだ。

 私は、久しぶりのちゃんとした食事で、とても美味しくご馳走になった。


「美味しかったです。ごちそうさまです」

「はいよ」

「カレンおねいちゃん、今日はどうするの?」


 おねいちゃんだって! こう、心にグッとくるものがあるよね。


「今日から、ちゃんと、冒険者として活動していくよ」

「てことは、ダンジョンに入るわけか。気をつけないよ」

「分かってます。じゃあ、行ってきますね」


 そして、数分歩き、目的地のギルドまでついた。


「お久しぶりです」

「あら、カレンさん、おはようございます」


 そう挨拶したのは、シャルだ。


「昨日の、魔物の換金どうなりました?」

「ごめんね、それが、まだ終わってないの。今日の夕方ごろなら終わってると思うよ」


 しょうがないよな、量が量だからな。


「そうですか。わかりました。それじゃあまた夕方ごろにきますね」

「あれ? 今日は依頼受けないの?」

「はい、ここにきたのは、冒険者になるためじゃなくて、ダンジョンに潜って、最下層を目指そうと思ってきたので」


 それが、両親からの試練だからね〜。


「そうなの。だったら、このダンジョンカードを作って行って」

「なんですか、それ?」

「これは、その人が到達した階層を記録してくれて、また行くときにその階層からスタートに転移してくれる優れものよ」

「じゃ、作ります」


 そして、私はギルドカードと同じ手順でダンジョンカードを作った。出し入れギルドカードと同じみたいだね。


「あとね、この街は、ダンジョンにある素材が欲しいって人がいるからそれの依頼を受けて行くことをオススメするわ。期限は無制限だしね」

「じゃ、全部受けます」

「分かったわ。行ってらっしゃい」

「はい! 行ってきます」


 そして、私は、はじめてのダンジョンに挑みに行くのだった。

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