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百層

 70階層に降りてきてから、上の階層とは何か違った雰囲気を感じていた。


「なんか、ずっと見られてるようなそんな感覚があるんだよな」


 だが、その尻尾を捕まえることができていない。人ではなく、生き物から監視されているような、そんな感覚を味わっていた。

 しかし、ヒューはその視線の中なぜか嬉しそうに喉を鳴らしていた。


「キュ〜、キュ〜!」

「なんで、私とこんなに反応が違うのかしら?」


 そんなことをぼやきながら走っていると、探知魔法に複数の気配が引っかかった。


「2体かな?」

「キャル!」

「なんだ、やる気だな。じゃ、今回もヒューだけで戦ってみようか」そして、出てきたのはトロールだった。

 トロールは醜い顔と体格で、ブヨブヨしている。再生能力も高く、内側に付いている屈強な筋肉まで攻撃が届かないと倒すことができない、とても面倒くさい相手だ。

 しかし、少しの間だが、魔物のを倒してきたヒューは相当強くなってきているようで、水魔法を爪に付与して、まさに、ドラゴンクローみたいな感じの技で簡単にトロール2体を倒した。


「流石はヒューだね。短期間で強くなりすぎでしょ」


 それから、お昼、夜と時間が流れ、今はボス部屋の前にいた。


「今回は多分あいつだよね」


 検討をつけながら、ボスの部屋のドアを開けた。

 そこには、やはり、トロールが五体、トロールキングが一体いた。


「想像通り。ヒュー、今回は手を出さないでね。一瞬で終わらせるから」


 カレンが、ヒューにそう言うと、ヒューは飛んで後ろに下がった。


 そして、トロールが遅いが重い一撃をカレンに叩き込もうと、走り出したがカレンの方が早かった。

 カレンが、刀に魔力を通して雷を纏った。それを刀の延長上まで伸ばして、トロール、トロールキングを切り焦がした。


「よし、終わった」


 カレンはその日もヒューと一緒にモンスタートラップまで戻り、攻略して寝た。






 それから、90層を攻略して今は、100層。ボス部屋の前に来ていた。


「ついに、これで、ママとパパから課されたダンジョン攻略は終わりだ!! ね、ヒュー。これが終わったら、ママとパパに会いに行こう。そして、一緒に暮らそうね」

「キュル!!」


 ヒューも嬉しそうに鳴き、私の頭の上を飛び回った。


 そして、100層ボスを倒すために扉を開いた。そこにいたのはドラゴンだった。


『やっと、ここまできたか冒険者よ』

「え? 喋った!?」

『ほぉ〜、そのドラゴンは、エンシェントドラゴンの子供か。いい相棒を持ったな』

「え!? ヒューって、エンシェントドラゴンのの子供だったの!? そりゃ強いわけだ」

『強いに決まっておるだろ。なんたって、我の写し身なのだからな』

「え!? てことは、ボスってエンシェントドラゴン!?」

『その通りだ。では、開戦と行こうか』


 そうして、エンシェントドラゴン(略してエンドラ)VSカレン&ヒューの戦いが始まった。

 先に動いたのは、エンドラだ。大きく後ろに羽ばたき、カレンに向かって突撃してきた。その速さは、弾丸の速さに匹敵するほどだった。

 それをギリギリのところで躱す。


「あっぶない! これは、全力出さないとやばいね」


 カレンは全力の身体強化を施し、刀には全力の魔力を流した。


「ヒューは逃げることに専念して!!」

「キャル!」


 ヒューは覚悟を決めた顔で返事をした。


『作戦は決まったか? ならば、こっからは情けは無用だな。行くぞ!』


 エンドラは、大きく腕を振るい、カレンを裂き殺そうとしてきた。カレンは、刀で出来るだけ力を逃がしながら受け止める。


『ほぉ、これを止めるか』

「まさか、雷が効いてないとはね」


 カレンが刀で受け止める。それは、相手に刀が纏っている雷を流されるということだ。しかし、エンドラは、全くの無傷で鱗が焦げてもいない。

 顔には出さずに内心めっちゃ焦っているカレンは、一度距離を取るためにバックステップをした。


「身体強化を全力でやってるはずなんだけどね」


 それからも、防戦一方のカレン、ところどころに切り傷を負っている。


『ふん、そろそろ終わりか。やはり人間は脆いな。貴様も、今までの人間と同じだったわけか』


 そう言ってエンドラは、カレンを裂き殺そうと、腕を振るった。

 カレンも終わったと思ったその時!!


((カレンは殺させない!!))


 それは、エンドラの腕を受け止めた。


「え? な、んで、どうやって?」


 カレンが驚くのも無理はないだろう、助けに入ったそれは、カレンが腰に下げていた双剣だったのだ。


(カレンには、まだまだ私たちを使ってもらわないといけないんだよ)


 双剣はカレンの頭の中に直接語りかけてきている。


『なんだ、それは!?』

「これは、私と剣との絆だ!!」


 これで、形勢逆転したカレンと双剣は、エンドラに三方向からの攻撃を始めた。どれも、一つを防げば他は防げないように、絶妙なタイミングで攻撃を開始した。


『く、くそ! 小癪な!!』


 エンドラは、その大きな巨体を回転させ、双剣とカレンを後方に吹き飛ばした。


『まだまだ、我はやられん!!』

「いーや、これで終わりだよ。ヒュー!!」

「キャル!」


 カレンと双剣の攻撃でとろこどころに大きな傷を負っていたエンドラは、少し反応が遅れた。


「やっちゃえ!! ヒュー!!!」


 そして、ヒューはエンドラに向かって極大で高威力の水の、いや、氷のブレスを放った。それは、エンドラの傷に入り、体の中からエンドラを氷尽くした。


『ふっ、ふっ、ふっ、よく、我を倒した、冒険者よ』

「はぁ、はぁ、もう、あんたとは戦いたくないよ」

『あぁ、いい勝負だった。まさか、剣たちがそれぞれ攻撃してくるとは思わんかったがな』

「まぁね、私もすごく驚いたよ。あれがなかったら私の方が負けてたよ」

『さぁ、先に進むが良い。まだここは、中間地点でも何でもないからな』


 その言葉に、カレンは衝撃を受けていた。


「? ここが最後じゃないの?」

『このダンジョンは、千層だからな』

「って、ことは、まだ攻略じゃないの!!??」


 カレンは崩れ落ちた。そこにヒューが乗ってきた。


「まだ、パパとママには会えないのか」


 それから、エンドラの体力が底を尽きる寸前こんなことを言っていた。


『実はな、そいつは、我の写し身であるが、本当は、写し身の写し身だと言うことを忘れないことだな』

「???」


 そう言って、エンドラは魔石だけを残して、消えていった。

 その言葉の意味を考えていたカレンだが、答えは見つからなかった。


「さて、百層のボスを倒したし、魔石を回収して、チェックポイントをつけて、帰りましょうか。ギルドに報告しなきゃだしね」


 そう言って、百一層に行こうと、下に下っていた時、事件は起きた。足元に転移魔法陣が発動したのだ。


「な!?」


 景色は一瞬で変わった。


「ここは?」

「キュル?」


 そこは、太陽の陽が届かないほど気が密集した密林だった。

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