別れ
「クリスティーナ、良かったの?文化も全く違う国に。」
国王の私室を辞してリアの部屋へと向かう
「リア様こそですわ。ノイワールの百合と称されるエド様とのご結婚も出来たのでしょう?
鄧は一夫多妻制なのですよ?皇帝にはリア様以外にも数多のお妃様がいらっしゃるのに」
「私は覚悟出来ているもの。他のお妃様達は、どの様な方々なのかしらね」
鄧の皇帝は後宮を持つ。後宮には妃、女官の他に大事な物を失った男達、宦官が住んでいる
後宮にいる妃は、生まれ育った階級により厳しく分けられている。4人の華妃、6人の緑妃、数多の黄妃。華妃は庭の花によって、薔薇の妃、菖蒲の妃、白百合の妃、椿の妃と呼ばれる。華妃の内、菖蒲の妃、白百合の妃、椿の妃が鄧の有力貴族の娘に与えられていた
「リア様はきっと薔薇の妃におなりになられますね」
「どうかしらね」
「まだ皇后も決められておりませんもの、きっとリア様ですわ。」
「無理ではなくて?私、異国の娘よ?」
「いえ、リア様なら大丈夫ですわ!」
「ふふふ、ありがとう
やっぱり、服は鄧服なのかしら」
「皇帝陛下にお願いすればドレスでも構わないのではないでしょうか」
「私、鄧服も着てみたいわね。とても美しいのでしょう?」
「リア様ならば、どんな服でもお似合いになられますわ。
…あ、そろそろ退出させて頂きますね」
「もうそんな時間ね。お疲れ様、ありがとうね。
ディートリヒ様によろしくお伝えになって」
「それでは失礼いたします。」
国内外にリアの結婚について広く伝えられた。
鄧からの使者や、国内外の有力貴族などから祝いの品が届き始める
「リア様、鄧の皇帝とご結婚なのですか!?」
「エド様ではないのね…」
「ええ。鄧の皇帝陛下へと嫁ぐことになりましたわ。」
「そんな遠国…リア様に会えなくなってしまいますわ」
「またいずれお会いする事もごさいましょう。心配なさらないで。」
「リア様…」
「リア様、ご結婚はいつ?」
「来月、鄧へと向かいます」
「来月!?」
「そんな急に…」
「ですから、私、皆様とこの学園に通えるのが今日までなのです。」
「え!?そんな」
「リーシュの大輪の薔薇が他国は取られてしまうのですね」
「また何処かでお会いしたら、たくさんお話ししましょうね」
「アリアドネ王女様。ご用意出来ました」
「ありがとう
…皆様、大変お世話になりました。御機嫌よう」
「御機嫌よう、リア様。」
通い慣れた学園の絢爛豪華な校舎を見上げる
「御機嫌よう、学園」
もう着ることのない制服のスカートの裾をつまみ上げ馬車へと乗り込んだ