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17 彼の組織を壊滅せよ!

 あの後、『正義の味方』の増援は主にショッピングセンター建物内に侵入した『悪の組織』の怪人の方へと向かっていった。魔法少女の二人は二手に分かれ、ルーファスとサテラの方にはアクアリリィが、建物の方にはイエローデイジーが向かうこととなった。なぜそうなったのかというと、広場の方にいた悪の怪人たちはルーファスとサテラにより数を減らされていたが、建物の中はまだ違うと言うこと、そして広場の方を全滅させるにしても、そこに『正義の味方』がいない状態は問題であること、ルーファスとサテラ自体を追い払う必要性もある。まあ、彼らは一応協力という形で戦っていたのだし、その分の恩もあるが、しかし彼等もまた『悪の組織』の一員。一応『正義の味方』が追い払った形にしないと問題がある。そういうことで、アクアリリィがこちらに来た。彼女ならば、本当の意味で殺し合いの形にならず、形だけ追い払うと言うことにできる。まあ、先に行った通り、話し合いもろくにできないので打ち合わせもないが、そこは両者ともそれなりに意志の通じ合う者、その意図は理解でき、ルーファスとサテラは荷物だけ回収し、広場の怪人が全滅したのちに逃げたのである。

 そうしてその時起きたショッピングセンターの事件に関しては、空から降ってきた悪の怪人は『正義の味方』が全滅させた、という話となった。ルーファスとサテラに関しては便乗して暴れた怪人が追い払われたと言う形の扱いになっている……らしい。上の方ではどのように伝わり、どのような事情であったか話されている可能性もあるが。まあ、それ自体は問題ない。よくある『正義の味方』と『悪の組織』の戦いの一つの形だ。ここの事情もいろいろとあり、また別にお互い休日、休暇中の話。もともと『悪』として行動していたわけでもなく、どちらかというと決まりを守ったうえでの行動に近い。まあ、『悪の組織』の怪人が『正義の味方』のような行動をしたのはどうか、とも思われるところかもしれないが。重要なのは今後の話である。

 確かに彼等は暴走した『悪の組織』の行動をなんとか対処することはできた。犠牲がいないわけではないが、かなり迅速に行動できたと言える。問題はこれはあくまで降ってきた『悪の組織』の怪人を退治した、という話でしかないと言うことである。家の中に入って来た蜂を刺されながらも全部退治した、くらいでしかない。しかし、その蜂が住んでいる巣自体はそのままだ。放置すればまた同じようなことになりかねない、ではどうすればいいのか。つまりは必要なのは湧き出てくる有象無象を潰すことではなく、その根源である巣を潰す事。すなわち、今回のことを起こした『悪の組織』の壊滅である。


「…………遅い」

「まだ来ねえのかあいつはっ!」

「ああ、自由に過ごせる時間が長いのはいいわねえ……本当に」


 『憤怒』と『嫉妬』の二人が小さく呟かれた愚痴に反応する。現在ジャシーンの組織の人間が集まっている状態である。首領および『傲慢』『憤怒』『嫉妬』『強欲』『暴食』『色欲』の隊長。その六人が集まっている。七つの大罪の名を冠する隊のうち、『怠惰』の隊長だけがまだ来ていない。まあ、その名を冠する以上、時間に遅れる、仕事をしない、適当に生きる、そういう『怠惰』なところがあってもおかしくはないのかもしれないが、しかし一応仕事は仕事、隊長という役職を任されているのだし時間通りに来るべきである。


「一応予定した時間よりも早い時間を言っておいたのだがな……」

「全く。あいつらはうちに入れたほうがいいのでは?」

「お前に扱いきれねえんじゃねえか? 仕事しねえ奴らばかりだからな」

「む……」

「何でもいいですけど、待っている間も時間は経つんです。早く来ないなら戻りますが?」

「まあ、待て……」


 と、そんな風に話している間にその『怠惰』の隊長が来る。


「すいませんおくれましたー」

「うむ。まあ、それがお前の持つ性質であるから仕方の無いことかもしれぬが、遅れず来るように」

「はーい」


 軽い返答だがこれでも彼はかなり譲歩している方である。まともに仕事をする方が少ないのが『怠惰』の舞台だ。まあ、ずっと遊んでいるわけでもない。流石にそれでは『悪の組織』にはいられない。とはいえ、ほとんど線上に出ず自分の趣味……という名の物作りに没頭しているのが一般的であるが。


「さて、ようやく全員揃ったな」

「首領、今回のこれはいったい……?」

「うむ。その件についてだがな」


 今回の騒動、通達もなく、ただ一方的に蹂躙し破壊するだけの『悪の組織』の活動。それについての話である。一般的に『悪の組織』は確かに『悪』らしい行動をするのだが、それでも国との取り決めを守る物。そうでなければ現在の世の中やっていけなくなるのである。彼らの目的は世界征服。世界を支配すること。それを行うのには、どうしてもそれだけ従う人間が必要になる。あまりにも暴虐の限りを尽くせば流石にその好意に対する抵抗が強くなる。それにこの世界のすべてが一般市民ならばともかく、ただ暴虐を尽くされるだけでは他の『悪の組織』も納得いかない。『正義の味方』も放っておかない。

 そうして、そういった横壁破りのルール違反を行う『悪の組織』に対し取る行動が、そのルール違反を行った『悪の組織』を壊滅させる行動だ。それも、『正義の味方』と『悪の組織』、その多くでの合同作業。


「ほう……それはそれは」

「首領、それは好き勝手に暴れてもいいんだよな?」

「もちろんだ」


 おお! と声を上げる隊長が数人。『悪の組織』の怪人である彼らも、いくらか配慮する行動をするのはどうにも堅苦しいと感じている。しかし、そうせざるを得ない。だが、相手が『悪の組織』であるなら話は別だ。ルールを守る『悪の組織』はともかく、ルールを破った『悪の組織』はどう扱おうとも構わない。好きに壊し、好きに奪い、好きに食らい、好きに犯し、好きに殺して構わない。


「腕がなるぜ!」

「ええ……いい機会だわ、ふ、ふふふ…・…」

「好きにできるのはいいことで」

「ああ、楽しみたいなあ……」

「いい女がいればいいが……」

「ああ、めんど」

「…………」


 それぞれ、まあ色々と思う所はある。基本的に乗り気なのは『傲慢』と『怠惰』以外の五隊である。


「それと。もちろんわかっているだろう?」

「ああ。『正義の味方』の奴らをぶっ潰すことだろう?」

「そうだ。今回の『悪の組織』ももちろんだが、『正義の味方』も思う存分潰せるチャンスだ。思いっきりやって来い」


 おお! とまたも隊長たちが声を上げる。




 基本的に『正義の味方』と『悪の組織』は正当に戦いをする。そのため、一度の戦いで両者が失うものはそこまで多くない。もちろん雑魚構成員をたくさん出し過ぎるとそれが失われることになるが、強大な戦力としては基本的に一対一での提出になり、失われるのはどちらも一。なので相手の戦力を削ると言う点では効率が悪い。だが、今回のような場合は少し話が違ってくる。

 『悪の組織』にいる怪人は、一体どこの『悪の組織』の怪人かはわからない。ゆえに『正義の味方』はそこにいる怪人をすべて殲滅するのが基本だ。両方とも手を貸し、共にルールを破った『悪の組織』を潰す……という名目であるが、同時に『正義の味方』も『悪の組織』も、お互いを潰し合うために合法的な活動をするための舞台でもある。数を伴い一人の『正義の味方』を襲う、出張って来た『悪の組織』の怪人たちを一掃しその『悪の組織』を実質的壊滅に追い込む、多対一、一体多、多対多、様々な形で戦う。それを行うためのものでもあるのである。

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